阪神・掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(58)が高知・安芸で行われている秋季キャンプに合流。長年、猛虎打線の4番を務めたミスタータイガースが後継者を育てるために連日、精力的な指導を繰り広げている。注目の指導方法は選手を褒めちぎる“ヨイショ作戦”。早くも若虎の心をガッチリとつかんでいる。
「いいね、いいね!」「それだ!!」――。1988年以来25年ぶりに安芸市営球場のグラウンドやスタンドにミスタータイガースの大きな声が響き渡った。2日に合流した掛布氏はまず「自分の野球に言い訳するな!!」と厳しい言葉をナインにぶつけた。ドラフト6位で入団して猛虎打線の4番まで上り詰めた。勝敗の責任をすべて背負いながら85年には日本一に貢献。その心構えを将来のタイガースを支える若手ナインに伝えた。
しかし、練習開始後、選手に投げかけたのは褒め言葉だった。大砲候補の森田に対しては「頼むよ、和製ホームラン王!」と激励。森田が打撃練習で非凡な飛距離を披露すると「小バース! 小バース!!」と褒めちぎった。掛布氏とともに主軸としてチームを日本一に導いた虎の最強助っ人、ランディ・バース氏と比較された森田は思わず照れ笑いだ。
この掛布氏の「褒めて伸ばす」指導方針は早くも大好評だ。中村GMが「おだてるのがうまい。独特のキャラもあるが、うまく選手の能力を引き出している」と言えば、和田監督も「盛り上げるのがうまい。選手が奮い立つ」と感心するばかり。打撃指導を受けた新井良も「気持ちを乗せてくれるようなアドバイスでした」と笑顔で振り返った。
午前中の守備練習では現役時代の定位置だった三塁に密着し、新井良と今成に直接指導。午後のフリー打撃では打撃ケージの後ろに立って、時には身ぶり手ぶりを交える熱血指導と一日中、グラウンドを動き回る。そして夜は掛布氏の提案で宿舎ホテルに用意された素振り部屋でマンツーマン指導。使命である生え抜き主砲育成に向けて昼夜を問わない掛布教室が開催されている。
厳しく明るく――。シーズン終盤の大失速、クライマックスシリーズ惨敗で重苦しいムードが充満しているチームにミスタータイガースが新風を吹き込んだ。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。