スマホの普及率が5割に迫る勢いとなり(IDCJapan調べ 2013年6月)、その数字は今後ますます増えていくことが予想される。しかし、一方で頑なにガラケーを使い続ける人がいるのも事実。ガラケーだからできることも数多い。『IT批評』編集長の桐原永淑氏は、その実力は災害時に発揮されると話す。
「3.11では、スマホを使ってツイッターやフェイスブックで安否を確認できたという話題がありましたが、あれはちょっと褒めすぎ。実際には、すぐにバッテリーが切れますから」
ガラケーなら、バッテリーも持つし、「例えば災害で体がどこかに埋まってしまったようなときに、手探りで、指先の感覚を頼りにボタンを押すことができる」(桐原氏)ため、SOSの発信にも有利だという。
それにしたって、ガラケーはSNSが使えない──という声は根強いが、実はそれは思い込み。例えば昨冬、発売された富士通のガラケー『F-01E』では、mixiもFacebookもLINEも、簡単に使えるように設計されている。4年前に発売されたガラケーを使っているというコラムニストの木村和久氏も「ツイッターもガラケーで十分に使えている」と太鼓判を押す。
「その一方でスマホは、電気自動車と同じです。何kmも走れると言っておきながら、実際はこまめに充電しないと走れない」
スマホと言えばiPhone、iPhoneと言えばスマホといった雰囲気もあるが、そのiPhoneのアイデアはどこから来たかと言えば「スティーブ・ジョブズが日本のiモードを見て、多機能の電話を思いついたと言われています」(前出の桐原氏)というくらいなのだから、ガラケーの完成度は実は高かった。そこからわざわざ、使いづらいスマホに“退化”する必要などない。
退化の事例は枚挙にいとまがない。今や当たり前の「おさいふケータイ」機能。iPhoneにはついていないので、お財布としては使えない。そして仕事の合間にスポーツ中継等を見るのに欠かせないワンセグ、つまりテレビ機能も、iPhoneにはついていない。
※週刊ポスト2013年11月8・15日号