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天下取った 闘将が4度目で悲願、宿敵G倒し男泣き

 プロ野球東北楽天は3日、仙台市宮城野区の日本製紙クリネックススタジアム宮城で行われた日本シリーズ第7戦で巨人を3−0で下し、初の日本一に輝いた。星野仙一監督にとって中日、阪神で計3度出場し、全てはね返された大きな壁だった。そして東北の地で宿敵巨人を破っての初栄冠。万感の思いに指揮官は男泣きした。
 ゲームセットの瞬間、星野監督はグラウンドにゆっくりと足を進めた。マウンド上に集まった選手の歓喜の輪の中で、仙台の夜空に9度舞った。
 監督として通算16年目。日本一は一度もなかった。「短期決戦に弱い指揮官」と言われもしたが、これまでは「日本シリーズは長いペナントレースのご褒美のようなもの。(負けても)気にしていないよ」と意に介さなかった。
 今回は違う。初めてパ・リーグの指揮を執り、3年目でのリーグ制覇。クライマックスシリーズ(CS)を突破し、迎えた日本シリーズの相手が巨人だった。「永遠のライバル」を相手に燃えないわけがなかった。日本シリーズ前には、投手陣に「ソフトバンクや西武に比べたら、巨人打線のレベルは中くらい。自信を持て」と鼓舞した。
 もう一つ、頂点を目指さなければならない理由がある。2011年の東日本大震災での被災者への誓いだ。「勝って希望の光となる」。あの日から忘れずに持ち続けた信念が、日本一への意欲を一層高めた。
 「今まで誰も楽天が勝つとは考えていなかっただろう。Bクラスがほとんどのチームで、震災もあった。でもな、そういう(困難に直面した)チームだから、勝てば、復興途上にある人たちに勇気を与えられるんだ」と信じた。
 監督の思いが伝わったかのように、日本シリーズでは選手が死力を尽くした。第2戦は手塩に育てた銀次が先制打。第5戦の藤田の涙には指揮官ももらい泣きした。
 第6戦はエース田中が今季初黒星を喫したが、9回160球の熱投で意地を見せた。試合後には選手に「(第7戦に勝って)どうせなら、うれし涙を流させてくれよ」と訴え、この日先発した美馬が第3戦に続く力投で頂点に導いてくれた。
 お立ち台に立った背番号77。待ち受けていたのは大歓声だった。「優し過ぎる」とあえて苦言を呈しもしたが、東北のファンの熱烈な歓迎が心地よかった。「東北を熱くする」。就任時の闘将の宣言は、ついに現実となった。(中村紳哉)

◎雨のKスタ熱狂

 こぬか雨降る東北の空に、闘将の体が9度舞った。日本製紙クリネックススタジアム宮城(仙台市宮城野区、Kスタ宮城)で3日あった日本シリーズ第7戦。東北楽天は3−0で巨人を下し初の日本一に輝いた。球団創設9年目でつかんだ頂点に、超満員のスタンドは喜びを爆発させた。
 九回、巨人の攻撃。田中将大投手の名前がコールされると、地鳴りのような歓声が球場を包む。「意気に感じた」というエースは、前日160球を投げたにもかかわらず、こん身の投球で巨人打線に立ち向かう。最後の打者を空振り三振に仕留めると、夜空に大きく両手を突き上げた。
 田中投手を中心としてマウンドに広がる歓喜の輪。それに星野仙一監督がゆっくりと近づく。嶋基宏捕手、田中投手、そして号泣する銀次内野手と抱き合うと輪の中央へ。胴上げに合わせ、スタンドでも万歳が続いた。
 巨人に逆王手をかけられて迎えた第7戦。それでも逆転に次ぐ逆転でシーズンを制したチームにとって、逆境こそが本領を発揮する場面だった。
 立ち上がりから巨人先発杉内俊哉投手に食らいついて、一回は敵失から1点を先制。二回にも岡島豪郎外野手の適時二塁打で1点。四回は牧田明久外野手のソロ本塁打でリードを広げた。
 投げては先発の美馬学投手が好投を見せた。試合前から降る雨を涙雨にするまいと、スタンドは懸命に声援を送る。七回からは則本昂大投手をつなぎ、九回は田中投手で巨人打線を封じた。
 東北に夢と感動を与え続けたシーズンだった。仙台市青葉区の庄子礼子さん(65)は優勝の瞬間、涙が止まらなかった。「Kスタで日本一の瞬間を見ることができて最高の幸せ。感無量。マー君にもみんなにも感動をありがとうと言いたい」
 東日本大震災の被災地に希望を届ける日本一だ。「震災以来いつか日本一になって、被災地の苦労をほんの少しでも癒やせればと思っていた」と星野監督。石巻市から観戦に訪れていた小山公通さん(75)は「石巻では多くの人が仮設住宅で見ている。被災地のみんなが励まされたと思う」と感激の面持ちで話した。


2013年11月04日月曜日

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