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【社説】暴力デモの責任を誰にも追及できない韓国

 2008年に全国各地で起こった牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)をめぐる一連の騒動で、一部の活動家グループが現場の警戒に当たっていた警察官に暴力をふるい、機動隊車両を破壊した行為について、ソウル中央地裁は先月31日「損害賠償を集会の主催者である市民団体に求めることはできない」とする判決を下した。この裁判で韓国政府は集会を企画・主導した「狂牛病牛肉反対対策会議」「韓国進歩連帯」「参与連帯」や同団体の幹部らに対し、活動家の暴力を容認あるいはほう助し、国に損害を与えたとして、警察官や機動隊員300人以上分の治療費と、機動隊車両やバスの整備・修理費用として5億1000万ウォン(現在のレートで約4700万円)の賠償を求めていた。

 判決文で裁判長は「問題の集会は2カ月という長期間にわたって続き、延べ数万人が参加したため、事件の容疑者グループが主催者団体のメンバーだったことや、主催者側の指示を受けたことを示す証拠がない」「主催者団体が事前に鉄パイプや角材などを準備して活動家に配布したとか、これを実際に使用するのを放置した証拠もない」などと指摘した上で「被害の発生という結果だけを見て、主催者側の責任を追及することはできない」と結論付けた。

 数万人もの参加者が昼夜に関係なく集まって集会や抗議行動を行えば、これが違法な暴力行為につながりやすいことくらいは誰にでも予想がつくことだ。問題の集会を主催した複数の団体は、2カ月にわたりビラやインターネット、各種メディアを使って参加者を集め、その結果、違法な暴力行為が発生した。もし仮に大量の引火物のある場所で主催者団体が事前の対策なしにデモを強行し、大規模な被害が発生したとしても、主催者と活動家との関係が立証できなければ、主催者側に責任は追及できないのだろうか。だとすれば韓国の法秩序は到底維持することができなくなってしまう。現在の法律では今回のように現実を無視した判決が出るのもやむを得ない側面があり、これが職業活動家に違法な暴力行為をさせる要因にもなっているのだ。

 今後、この種の問題では政府、国会、裁判所のそれぞれが責任ある対策に取り組まねばならないだろう。現在、韓国社会では主催者団体が数十に上る集会やデモが数多く行われている。このような現状の中、集会で行われた違法行為の責任を主催者側に追及できないとすれば、大韓民国は職業活動家が大手を振ってデモに参加する混沌(こんとん)とした社会になってしまうだろう。

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