「コナミ日本シリーズ2013」は3日、Kスタ宮城で第7戦を行い、楽天が巨人を下し、球団創設9年目で初の日本一に輝いた。
待ちに待った瞬間だ。仙台のファンの、球場が震えんばかりの大歓声に包まれながら、共に戦ってきたナインに胴上げされて杜の都・仙台の夜空に9度待った星野監督。第5戦に勝ったあと「仙台のファンの前で胴上げされたい」と絶叫。その願いは見事にかない、中日でも阪神でもつかめなかった勝利を手にした。闘将は万感胸に迫る思いだったろう。
第6戦ではエースの田中が打たれて敗れた。だがこの日は美馬が第2戦に続いてマー君に負けない“魂の投球”を見せた。また岡島は2回に適時二塁打、4回には牧田に大きな一発が飛び出すなど、手塩にかけて育てた“星野チルドレン”が見事に活路を切り開き、栄光のゴールを駆け抜けた。「こんなにうれしいことはない。東北の子供、全国の子供、被災者に勇気を与えた選手を褒めてやってください」。そう語る声は感激に震えた。
シーズン中にはベンチで仏頂面をしていることの多かった。だが日本シリーズでは試合中にも笑顔を見せるなど気分良くタクトを振るった。そのきっかけとなったのが、第2戦(27日)のラジオ解説のためKスタ宮城に来場した前ヘッドコーチ、田淵幸一氏(現評論家)の取ったある行動だ。
試合前にKスタの監督室に置かれていた頂き物の饅頭を見つけた田淵氏は、会話もそっちのけで“獲物”を凝視。星野監督がコーチ陣とミーティングを行っている隙に3つあった饅頭をすべてポケットに入れて持っていってしまったという。
実はこれ、田淵ヘッド時代によく見られた光景だった。沖縄・久米島キャンプでは、田淵氏が宿泊先の監督の部屋から酒や菓子を持ち帰り、指揮官が「あいつ持って行きよったで!」と突っ込むのがいつものパターン。闘将は「監督の物は俺のものなの!」という“田淵理論”にも理解を示し「次は何を持っていくんや?」と自然と笑顔になっていた。
田淵氏には星野監督をリラックスさせたいという思いもあって、そのような行動に出たのだろう。気難しくて頑固な指揮官というイメージが強いが、じつは感激屋の星野監督。盟友の気遣いに感激し、日本一への意欲はさらに高まったに違いない。
来季は絶対エースの田中が米大リーグに移籍する可能性は高い。それでも15勝を挙げたスーパールーキー・則本を中心にマー君抜きでも勝てるチームを作り、再び頂点を目指す。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。