なのはに問題児がやってくるそうですよ? (sinfonii)
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友達
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私の名前は高町なのは。来月には私立聖祥大学付属小学校っていう所に通うことになってます。
今日はお休みの日、なんだけど家族は皆忙しくて、私は一人でお留守番・・・。
仲の良い友達も居ないし、ホントは家でじっとしてたほうがいいんだけど、今日はなぜか無性に公園に遊びに行きたくなっちゃいました。っていっても皆が遊んでるのを眺めるだけなんだけどね。
ちょっと足を伸ばして臨海公園まで行ってだーれもいなくて、けど誰かが海で泳いでたの。よーく見てみると私とおんなじぐらいの子で、すぐ近くの砂浜に向かって泳いでたから急いで砂浜に向かったの。
お話できるかもしれないって思って。けど頑張って走っていったのに、ついた時には泳いでる姿も見えないし、見渡しても誰も居なかったの。
私はすっごくガッカリして、今日はもう家に帰ろうと思って後ろ向いたら海のほうでザバッって音がして、振り向いたらさっきまで泳いでた子がこっちに来てて、びっくりして腰が抜けちゃって何を話していいかわからなくなって――
「おーい、聞こえてますかー?服かしてくれねー?」
ちょっと待って欲しいの、今何話すか考えてるんだから。・・・寒くないんですか?いやいや寒いに決まってるよね。全然違ったら気まずいなんてものじゃないの。なんで泳いでたんですか?よしこれでいこう。
「・・・・・・。」
「そんなに驚いたのか?ちょっと潜水してわざとタイミングを見計らっただけだぜ?許せよ。」
ダメだ声が出なかった。
そもそもそんなコミュ力なんていう選ばれし者にしか与えられない力をなのはが持ってたら友達ぐらいいるの。友だち居ないし家族はずっと忙しいし、普段から殆ど喋らないなのはを舐めないでほしいの。
けど勘違いしちゃだめだよ?なのはだってきっかけさえあれば友達ぐらい作れるんだからね?覚醒して隠されたコミュ力が発揮されるだろうなのははやればできる子なんだから!
「・・・・・・。」
「シカトですかそうですか。俺もう行っていいか?何でじっとこっちを見てダンマリなんだよ気まずいだろ察せよ。」
取り敢えずここから友達になる方法を考えるの。この前テレビで相手の名前を呼んだらもう友達ですって行ってたけどちゃんちゃらおかしいの。それなら密かに心の中で名前を呼んでるなのはは友達超いるじゃんもう小学生になるのに今まで誕生日会なんて呼ばれたこともないよ。
まずなのはの(必死の)分析によると、趣味が合う人が友達になるみたい。やっぱり話が合わないと楽しくないよね。趣味:AV(Audio Visual)なんて話してる人見たこと無いからこれはきっとタブー。
まず相手は男の子だからおままごととかは趣味じゃないよね?男の子ならゲームとか仮○ライダーかな?もしかしてAVの可能性もあるのかな?AVならなのは結構話せるよ!他にもロボットとか戦隊モノも行けるよ?することないから話題作りのためにテレビだけは見てるからね。仮面○イダーからプ○キュアまできっちり見てるよ。毎週アラームで起きて――
「・・・(ピシッ)あぅ!・・・ふぇ?」
「・・・ふぇ?じゃねぇよ。というか、本当に気がついてなかったのかよ。」
どうやら男の子にデコピンされたみたいで、おでこがヒリヒリするの。男の子は呆れた顔でこっちを見てたの。
・・・もしかしてまたやっちゃった?考え事しててずっと無視してたの?
「あ、あの、その・・・。」
「ん?どうしたよ。」
「そのぅ、あのぅ、もしかして・・・ずっと話しかけてくれました?」
「あぁ、結構話しかけたな。」
ハイ終わったー!なのはの友達作ろう計画は完全に終わっちゃったー!
打ちひしがれてがっくりと項垂れてしまった私は悪くない。もう駄目だもん。絶対変な子だって思われてるし・・・。
けどやっぱりどんな顔してるのかなーって気になっちゃうのも仕方ないと思う。見なきゃよかったなんて思うかもしれないけど、も、もしかしたら希望がまだあるかもしれないし。
そーっと顔をあげて様子をうかがうと、男の子は笑ってたの。こ、これはまだチャンスが!
「面白いなお前!見たところ5,6歳って所なのに、なかなかいい反応だぜ。」
キタ!我が世の春がキタ!まさかこんないい方向に転がってくれるとは神様ありがとう!もうお菓子食べてテレビ見て昼寝して起きてご飯食べてって生活を改めるの!いやいやまだ喜ぶのはまだ早いの。改めるのは友達が出来て遊びに行くようになってからでも遅くはないはずなの。
「・・・エ、エヘヘ。あ、ありがとなの。・・・そ、そうだ!な、名前、なんていうん・・・ですか?」
流れで名前聞いちゃう私マジやればできる子。とか思ってたら男の子は急に顔をしかめちゃったの。
えっ!?も、もしかしてまだ早かったの?けど自己紹介はそんな悪いことじゃないよね?けど名前聞かれたくなかったのかも
・・・。ロード!神様さっきセーブした所からロードさせて欲しいの!あ、けどやっぱりちょっと攻略方法考える時間がほしいなーなんて。
「・・・よし、俺は十六夜(いざよい)飛鳥(あすか)だ。飛鳥でいいぜ、よろしく。」
「あ・・・高町、なのは。なのはでいいです。よ、よろしくお願いします。」
急に笑って自己紹介してくれたからテンパっちゃって敬語になってお辞儀までしちゃったの・・・。
じゃ、じゃなくて、あれ?これはオッケー?友達オッケーな感じ?え、でも何で顔をしかめたんだろ・・・なのはのコミュ力じゃあわからないんだけど・・・。と、とりあえず何か話題を――
「あ・・・寒そうですね。」
「だから服貸してくれねぇかっつっただろ!?」
そしてここに来て痛恨のミス!
いやまて落ち着くんだなのは。危険だけどこのピンチをチャンスに変える一発逆転の手がある。
失敗した時のリスクは計り知れない・・・。もし万が一近くに家があったり、近くに家族が居たりしたらこの作戦はおじゃんなの・・・。
しかし、相手は何故かこの時期に服を着て海を泳いでいる割りには替えの服をもってなさそう。近くに誰も居なかったし、家が近いなら服貸してなんて言わないはず・・・!よくよく考えると色々おかしいし変わった所ばっかりな人だけどさっき友達になった子(主観)を放っておけないの!
「う、家に来ませんか・・・?」
「あー、まぁ替えの服なんて家にしかねぇよなぁ・・・ちょっとどうかしてるな。けど頼んじまったもんは今更だ、悪いが世話になってもいいか?」
「ぜ、ぜんぜん大丈夫なの!あ・・・けど男の子が着る服あるかな。」
「お前と背は大して変わらないし、お前のでいいんだけど。」
「?女の子用の服でもいいの?」
「今お前ズボンはいてるだろ。普通に外に出ても問題ない服を乾くまで貸してくれたらいい。勿論お前が嫌なら別にいい、タオルでも貸してくれると助かるが。」
「それはいいの。あ、飛鳥くん海にいたからべたべたするよね?お風呂入っていっていいよ?」
飛鳥くんは悩んだ顔をした。ふふふ、けど交渉は素晴らしく順調なの。この場で断られても後で私が、服べたついちゃうね、とでも言えば断れないはず。
な、なんならいきなり名前で呼んじゃたの。よ、呼んでいいっていってたし呼んでも怒られないよね。
ここでお風呂に一緒に入れば誰がどう見ても友達・・・!まったく、自分の才能が恐ろしいの。
移動してお風呂をわかしてお風呂に入る、あわよくばお母さんのところに行って一緒にご飯なんかまでいけるかもしれない。
それまでにおうちの場所を聞いて、小学校を聞いて、次に会う約束を取り付けなくっちゃダメなの。・・・イケる、私ならやれるの!覚醒キタ!実はコミュ力を授けてくれてたんだね神様!
「・・・そうだな。人の服を借りるっていうのに俺が海水まみれじゃあ悪いな。・・・この借りは今度返すわ。」
「あ・・・!じゃ、じゃあ・・・!」
これは最高のチャンス!自然な流れで私の初の友達ゲットなの!
勇気を振り絞るの!
「と、とと、友だちになってくだしゃい!そ、それなら貸し借りなんて気にしないの!」
「・・・あぁ、いいぜ。それぐらいならお安いご用だ。ハハッ!問題児過ぎて手に負えないって有名な俺様の親友第一号だ。喜んでくれよ?」
・・・あぁ、お母さん。私はちょっと早まったかもしれません。
あと、腰が抜けて立てないんだった忘れてた・・・