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【プロ野球】

楽天日本一 マー伝説になった

2013年11月4日 紙面から

◇日本シリーズ第7戦 楽天3−0巨人

巨人を破り初の日本一を決め、捕手嶋と抱き合って喜ぶ田中=Kスタ宮城で(佐藤哲紀撮影)

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 マー君伝説が本拠地仙台で完結した。日本シリーズは3日、3勝3敗で迎えた第7戦がKスタ宮城であり、楽天が巨人を3−0で破って球団創設9年目で初優勝した。楽天は9回、前日に160球投げた田中将大投手(25)が3番手で登板。最後は代打矢野を三振に仕留め、シリーズ初セーブを挙げた。往年の大投手、稲尾(西鉄)の20連勝など、連勝記録を次々に塗り替えた2013年。来季、メジャー挑戦を視野に入れる日本球界の宝は、最後まで絵になる男だった。

 宝刀スプリットにバットが空を切った瞬間、田中の口からは雄たけびが上がり、両手を突き上げゆっくり歩き出した。嶋、そしてナインが次々と飛び掛かり、人さし指を天に突き上げて渦になる。歓喜の瞬間には、いつもこの男がマウンドにいた。球団史上初のパ・リーグ制覇、CSファイナル突破、そしてこの日本一−。いずれも田中が最後の1イニングを抑え、胴上げ投手となった。

 「昨日は情けない投球だったので、出してもらえるなら、いつでもいくぞという気持ちで準備していた。この舞台を用意してくれたチームの皆、ファンの方々、意気に感じてマウンドに上がった。ホッとした」。お立ち台の最後には、「ありがとー! 日本一になったぞー!!」と、力強くファンに呼び掛けた。

 日本一に王手をかけて本拠地に戻ってきた、前日(2日)の第6戦。チームもファンも、今季無敗の沢村賞投手が決めてくれると、信じて疑わなかった。だが、その期待が見えないプレッシャーになって、田中の背中にしがみついていたのかもしれない。今季ワースト4失点。自身の昨年からの公式戦連勝が30で止まり、3勝3敗のタイに持ち込まれた。

 その夜のうちに田中は短文投稿サイト・ツイッターで「大事なところで思うように投げられなかった。だけど下は向かない! 上を向いて前へ進んでいく!! これで終わりじゃない。この次が大事」と悔しさを吐き出し、第7戦での登板に意欲を見せていた。

 プロ入り後自己最多となる160球完投しての翌日。星野監督は「考えられない起用だが、どうしたって田中が行かせてくれと言う。彼がいたからこそここまで来たんだから、最後はアイツがふさわしいと思って託した」と明かした。

 監督自身、中日入団1年目にKOされた翌日、直訴した先発で敗れたことがあった。うなだれていたら、当時の監督だった故・水原茂さんに「こういう男を待っていたんだ」と背中をたたかれた。これが燃える男の原点。田中の気持ちは誰よりも分かっていた。

 3点リードで迎えた最終回。投げた15球のうちストレートはわずか3球。2安打されて2死一、三塁、一発出れば同点の危機。球威もいつもの田中ではなかった。だが最後の力を振り絞って、栄冠をもぎ取った。

 来季はポスティングシステム(入札制度)を使ってのメジャー挑戦がささやかれている。節目になるかもしれない今季のラスト登板で、日本シリーズ初セーブ。今後も語り継がれるであろう伝説的な2013年を、有終の美で飾った。 (竹村和佳子)

 

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