国際【鼓動】ソ連体制下で隠蔽され続けた「ウラルの核惨事」 住民汚染は黙殺 ロシア+(1/5ページ)(2013.5.12 12:00

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【鼓動】
ソ連体制下で隠蔽され続けた「ウラルの核惨事」 住民汚染は黙殺 ロシア

2013.5.12 12:00 (1/5ページ)鼓動
テチャ川の放射能汚染の実態を語るゴスマン・カビロフさん。一時期、川沿いには鉄条網がはられ、立ち入り禁止措置がとられた

テチャ川の放射能汚染の実態を語るゴスマン・カビロフさん。一時期、川沿いには鉄条網がはられ、立ち入り禁止措置がとられた

 今年2月、「100年に1度」の隕石が飛来したロシア中部チェリャビンスク州。現地の人々が「放射能汚染」を心配したのは理由がある。同州にはソ連時代に作られた核開発施設が密集。落下による悪影響を疑ったのだ。半世紀前、「ウラルの核惨事」と言われる爆発事故やずさんな処理で多くの住民が被曝(ひばく)した。汚染は世代を超え、今も人々を苦しめる。

(チェリャビンスク州 佐々木正明、写真も)

 4月中旬、100万都市の州都チェリャビンスク北方約50キロを流れるテチャ川。後にオビ川に合流し、北極海へと流れ出るこの小川の上流に核開発コンビナート「マヤーク」がある。

 人気のない川のほとりに来ると、手元の計測装置の放射線量が警報音とともに上昇していく。日本では国への通報義務のある基準量毎時5マイクロシーベルトを超えたとき、同行した地元住民、ゴスマン・カビロフさん(56)がこうつぶやいた。

「放射能は匂いも色もない。だから怖い。多くの人々が何も知らずに、マヤークの汚染による『川の病気』で死んだんだ」。

 シラカバと湖に囲まれたシベリアの大地を襲った悲劇の発端は、60年以上前にさかのぼる。第二次大戦後、ソ連は米国に立ち遅れた核兵器開発を挽回するため、ウラル山脈の麓に外部の人の出入りを厳しく制限する閉鎖都市群を作った。

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チェリャビンスク・核施設

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