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【第453回】 2013年8月30日
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岡 徳之

ソフトバンクのスマホは本当にバリバリなのか?
“つながりやすさ”でしのぎを削るキャリア各社の虚実

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 KDDIとソフトバンクモバイルについて特筆すべきは、「iPhone」がつながりやすさで苦戦している点だろう。エリア化率ではソフトバンクモバイルが3位、KDDIが4位、通信速度ではソフトバンクモバイルが5位、KDDIが4位といずれも低め。両キャリアの主力機種であるiPhoneは、利用者が多いことなどから、地区や状況によってつながりにくかったり、通信速度が遅くなるといった影響が見られている。

キャリアの宣伝と第三者機関の調査結果には
「つながりやすさ」で少なからぬ差が

 もちろん、この調査結果だけを鵜呑みにしてよいわけではない。前出の岸田氏は、「同一の第三者機関による定点的な調査結果といえども、そのときどきによって数値に幅が生じることがある」と釘を刺す。

 加えて、「エリアのカバー率は、90%台になってから1%ずつ伸ばしていくのがとても大変。通信キャリアからすれば、それは赤字前提の投資であるため、民間企業としてどこまで伸ばすかは、経営陣のバランス感覚による」(岸田氏)という。

 しかしいずれにしても、通信キャリア各社が公言したり、広告宣伝活動で訴求している「つながりやすさ」、裏を返せば我々ユーザーが刷り込まれているかもしれない「つながりやすさ」と、同一の基準のもとで第三者機関によって行われた調査結果との間には、少なからぬ差異がありそうだ。

 ユーザーにとって最も重要なのは、自分の生活するエリアや状況でつながるか否かである。こうした調査結果も参考にしながら、買い替えの必要性を吟味したいところだ。

 とはいえ、「つながりやすさ」だけがスマホ選びの条件になるわけではない。参考までに、キャリアを選択する際の基準となり得る「端末機種」「キャンペーン」の状況についても簡単に触れておこう。

 前出の中村氏によると、足もとではNTTドコモが発売しているソニーの「Xperia」が好調だという。ほどよい大きさで価格が安めに設定されており、防水、おサイフケータイ機能搭載、iPhoneライクな形、家電量販店などで販売を強化していることなどがその要因らしい。

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おか・のりゆき

「マイナビニュース」「J-CAST」など、主にウェブ媒体での執筆活動を行ない、IT業界全体を俯瞰するマ クロな視点とウェブ技術に特化したミクロな視点で、業界を定点観測している。デジタルネイティブ世代とロスジェネ世代の中間層(1986年1月生まれ)。PRエージェンシー勤務を経 て、2011年より企業広報・ソフトウェア開発を専門とした株式会社tadashikuを立ち上げる。国内大手BtoCブランドのPR業 務に従事し、国際的な広告賞を受賞したデジタルクリ エイティブキャンペーンにも携わった。


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