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- 件の話題にあがってきた読売テレビ問題についてのその後
去る10月28日、読売テレビに2回目の交渉に行ってきました。1時間半ほど交渉したのですが、結論的には、下記のような点を確認しました。
1) 読売テレビはコリアNGOセンターの抗議の趣旨を重く受け止めつつ、センター側が求めた「通名の変更によって金融歴、犯罪歴の末梢はできない」との事実確認について、読売テレビは犯罪歴を抹消することは物理的にできないということは承知しているが、通名変更で信用情報を新しくして繰り返された詐欺事件が実際に過去に生起しており、竹田発言のすべてが間違っていたという立場ではないと説明しました。トーク番組という性格柄、短いやりとりによる比喩的表現であったとの見解を崩さず、この部分は平行線のまま縮まらずでした。
2)ただ、読売テレビとしては今回の番組での、竹田発言について、在日コリアンの方々をはじめ視聴者に対して、犯罪歴を消せないにもかかわらず、あたかもやすやすと消せるかのような「誤解」を与え、迷惑をかけたことを認識し、その点については謝罪をする。
3)その謝罪の旨を視聴者に対して放送を通じて明らかにする。
交渉では、読売テレビとかなり激しいやりとりをしました。彼らの頭にあったのは私たちが求めていた放送法第9条に基づく「訂正放送」の頑な拒否でした。放送法第9条の「訂正放送」とは下にあげたように、放送局にはかなり厳しい修正、訂正を求める内容で、彼らは組織をあげて、それを避けたいとの姿勢だったと思います。
とりわけ、3件の新聞報道記事を提示し、通称名変更を行った上で信用情報を新しくし、借り逃げした詐欺犯罪事例を私たちに見せ、今回の放送が「訂正報道」を必要とする「完全に誤った放送」であるとの指摘には激しく抵抗しました。必然、私たちとの議論は激しくならざるをえませんでした。
一方、こちら側の主張のすべてに真っ向から反論してきたわけではなく、抗議の趣旨を踏まえ、「多大な誤解を与えた」との非を認め、謝罪が行われました。謝罪の行い方は、24日の会合よりも丁寧で中身も一定整っていたと思います。
「在日特権」なるものがそもそも在日コリアンを攻撃する理屈として挙げられており、それを読売テレビが番組で一部でも容認する立場を示したことへの憤りと、また、この時期にあえて「在特会」に汲みする発言を流したことへの問題性を重く受け止めるべきだと迫りました。
担当者らは、その点については率直に反省を述べていたと思います。決して在特会に同調する考えはないとの見解も明確にしたので、それならばと、放送中にそのことに触れるよう求めました。それができるなら、放送法にもとずく「訂正放送」の要求は撤回することができると切り出しました。
さきほど、読売テレビから連絡があり、今日の収録において「お詫び」が行われました。番組冒頭で、司会者から10月20日の放送における「誤解を招いた点」について言及し、謝罪をしたとのことで、その分は11月3日に放送されます。
結果としては後味の悪さは残ります。放送局という公器に携わる人々が、マイノリティに無関心で、かつ冷徹である場合、視聴率のために人種主義集団にも汲みしてしまうのだということをかいま見せられた放送だったと思います。
もちろん、放送局に対する問題提起は行われましたし、これからの番組づくりに何らかの警鐘となったと考えています。パネリストのバランスを欠いているという点についても、自覚はしていました。「お詫び」内容については概要を聞きましたが、実際には今週日曜日に見てみないとわかりません。たぶん、わずか何行かのコメントでしょう。
多くの方々から注目を集めた今件について、私たちコリアNGOセンターが必ずしも期待に添えなかったかもしれません。「自分ならばこうした」「押しが弱かったんではないか」との指摘もあるかもしれません。そうした批判を甘んじて受けつつも、理不尽に口をつぐまないという姿勢で臨んだということについて、理解を得られればと思います。
外国人・民族的マイノリティの当事者が運営する社会団体である私たちコリアNGOセンターは、とにかく、先駆けにならなければとの思いです。他のエスニックグループがこうした社会団体を構成し、日本社会で声をあげていける、あともう少しその先まで、その先駆けとしての役割を果たして行きたいと考えています。
引き続き、皆さんの関心とご支援をよろしくお願いします。
【放送法にもとずく訂正放送】
放送事業者が真実でない事項の放送をした場合、権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人(親族等)は、放送日から3か月以内に訂正放送の請求を行うことができる。この請求があった場合、放送事業者は、遅滞なく放送事項が真実でないかどうかを調査しなければならない。放送内容が真実でないことが判明したときは、放送事業者は判明した日から2日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなけ
ればならない。