彼はほとんど勉強していなかったそうです。
あぁ、道理で。
何のことかよくわかりませんが、前回の続きです。
さてミトコンドリアも筋肉も減ったブタは、疲れやすくなって動かなくなります。
豚小屋では、体を動かさなくても叱られません。
なので彼らは酒と肉ばかり飲み食いして、ひたすらグータラするようになります。
そもそも肝臓での糖新生の速度には限界があります。
インスリン不足で肝臓にグリコーゲンが蓄えられないこともあって、
ブタは体を動かすと血糖値が下がり過ぎてしまうのです。
日の当たらない小屋の中で体を動かさないブタは、ますます筋肉が減っていきます。
そうして筋肉がなくなると、インスリン抵抗性どころではありません。
インスリンが効く場所そのものが消えるので、血糖値の制御がだんだんできなくなります。
いくらブタでも何となくオカシイと思い始めますが、
「糖質は毒」ですからチーズやナッツをモリモリ食うしかありません。
ところで、糖質制限を始めると一次的に血中の中性脂肪やコレステロールが上昇しますが
(MTP)、やがて落ち着きます。
これは脂肪の合成が停止することに加えて、筋肉などが積極的に脂肪を取り込んで消費するようになるからです。
その代わりに、筋肉は糖質をあまり利用しなくなってしまいます。
糖質を取りこんでも、乳酸にしてすぐに放出してしまうんですね。
もちろんそれは糖新生のためです。
糖質が大好きな脳を維持するために、筋肉は我慢して、おいしいところは残しておいてあげるわけです。
それどころか筋肉は自分を分解してまでアラニンで糖新生をさせて、ブドウ糖を脳にゆずるんです。
ブタと違って賢いですね。
そして、もうブタには何もありません。
体を動かすと疲れます。
糖質を食べると血糖値が爆発します。
人工甘味料の不自然な甘さにはもう飽き飽きです。
でも、ブタはもうヒトに戻ることはできません。
「糖質は毒」「糖質は毒」
と念仏のように唱えているうちに本当に糖質は毒になり、
彼らの体は数グラムの糖分すら耐えられない、ヒト以外の何かになり果てました。
ヒトでなければ何でしょう。
妖怪としか言いようがありません。
彼らはヒトの社会で生きていくことが苦痛になります。
当然ですよね。
彼らはもう、ヒトではないのですから (笑)