「ぜぇ……ぜぇ……四条烏丸、ここまでこればいいだろ……人も多いし……」
やっと、あの変なコスプレ集団から逃げられたぞ。頭、あいつら大丈夫なのか?
……まぁ、これでやっと学校にいけるな…………遅刻はするけど。
「ここからだと……そうだな。電車でいくか……」
「待ちなさい」
次はなんだよ!? ……わおっ。
さらさら棚引く透き通るような透明の髪……。それは、まるで運命の出会いか。されど、神の徒か。
「待ちなさい。そこの迷える子羊よ」
ドラ●エ9の女神みたいなお姉さんがッ! 凡人の俺の前にッ……!
しかし、なぜ公共の場でコスプレを……? こんな美人でも、こんな痛々しい格好をされて、一緒にいると……オタクの俺でも恥ずかしいぞ……。
ざわざわ
「うわー。すっげ、美人がいるぞ……」「コスプレイヤー?」「うわ……写メ、写メ……」
ざわざわ
ほら、改札口の前だから……迷惑だし、目立つし……。
「私は……美しい地球の女神です!! 紅 薹揮さん、あなたにこの地球を救ってもらいます!」
……へ?
「あの、」
「はい、なんでしょう!」
「頭は大丈夫ですか……?」
さすがに、今のは……。ほら、回りだって……。
ざわざわ
「…………」「なに今の……?」「撮影? カメラは特にないけど、あの人達やばい人……?」
ざわざわ
ほら、見ってみなさい! 俺までも変な目でみられてきてるぞ!?
「あ~やっぱ、駄目か~じゃあ、こっちきて♪ 私が美しい地球の女神様だって証明するから♪」
「え、ちょ、だれかー! この人頭可笑しいって!!」
くっそ! なんだよ! 女性にしてはこの人、力強すぎだろ! なかなか、離れられないぞ……!?
「放せ! 放せって! 俺は学校にいかないといけないんだよぉおおおおおお!!!」
「うっさい! あんたなんかに本当はかまいたくないのよってばよってばよ!」
ってばよってばよってなんだってばよ!?
あまりにも、騒がしいのを見てか、駅の交番から1,2人の警察官がやってくるのが見える。
――やった、助かっ『ドドッ――ン!!!』
「「え?」」
「くっくっく! さすがはクラム・タイガー! その大砲の威力はすごいな!」
あ、あれは……! ま、まか、まろ……マカロンのフェンリルだっけ……? くっそ、あの変態集団もう来たのか……? ていうか、地下なのに、なんで大砲なんかうってるんだよ……?
「おい! お前ら、なにものだ! 手をあげてこっちへこい!」
さっき、でてきた警察官達が銃を構えながら霜の巨人達に近寄る。それが、気にくわないのか、フェンリルは警官を睨み。
「あ? ギーギー! こいつら、邪魔だからやれ!」
そういうと、地面がボコッと、もりこんで、一気になにかが上がってくる。
「ギー!」「ギー!」
「な、なんだ、こいつら!? 撃て、撃てぇー!」
「は、はい!」
――バキュゥーン! バキュゥーン!
これって、まるで、仮●イダー●―ズの第一話のあのシーンみたいじゃないか……! でも、これって撮影の一部だろ……? 現実的に……。
「な、こいつら、拳銃がきか……うわぁああああ!!!」
そういうと、警官達はギーギーと呼ばれた戦闘員達にやられていく。
否、まるでテレビのシーンが目の前で起きているみたいだ……まさか、これって本当に……あいつら、悪の組織?
「まったく、今になって気づいたの? そんなことよりもあれやって、見てさぶろう?」
女神は大砲で、崩れた壁がちらかる方を指刺す。そこには……。
「ママ~痛いよ……ママァァ!」
よくいそうな《テンプレート》少女がっ!? ってか、足ががれきに挟まって動けないのかよ!?
幸運な事に、霜の巨人の奴らは、次々と出てくる警察官達をなぎ払うのに夢中で、少女にはまったく気がついていないようだった。
「あ、あれ助け」
「どうやって、助けるの? あの子助けるには前にいる怪人を倒さないと駄目じゃない?」
そ、それは……。それは、無理だろう……!? 信じたくはないけど……これは撮影じゃない……。目の前にいる警察官達がそれを物語っている。
「そう、今のあなたには無理よ。されど、あなたの気持ち次第ではできるかもしれない」
? なんだよ、この展開……!? これって……まさか!
「変身するのよ! あいつらを倒すスーパーヒーローにッ!」
す、スーパーヒーローだと!? お、
「俺がヒーロー?!」
「イエス! キリキリクリスチャン! それしか、方法はナッシング!」
な、なんかこの女神、口癖が決まらないというか、なんというか……まぁ、そんなことはどうでもナッシング!
「で、どうやって、そのスーパーヒーローとやらになるんだよ!?」
そうだよ、できればベルトみたいな物がー
「このベルトを腰にまいて、『聖着想!』と空に向かって叫びなさい。そうすれば、
変身できます」
ベルトだったよ!? 思いっきり、仮●ライダーみたいなベルトだったよ!?
「なに、おどろいてるの? ほら、早くつけて……」
そういうと、女神は俺の腰にベルトを巻いた。
「さぁ、奴らも、こちらに気づいたようだから、早く変身して、とっととやっちゃいな!」
へ?
「あ、あいつはー! さっき、私達の霜の巨人の正体を知ってしまった少年ッ! クラム・タイガー! あいつを生かしておけないわ!」
ま、まじか!? ってか、よく見ると、回りにいるのあの変態集団と、俺と女神だけじゃないか!? ……と、後ろの少女。よく気づかれないな?
「小僧! お前には恨みはないが、ここで死んでもらう!」
「は、早く! 変身しなさい! かっこいい仮面のヒーローだから!」
っく……仕方が無いか。確かに、形は違うとはいえ、俺が望んだ結果なのだろう。
「おい、なんちゃらタイガー!」
「クラム・タイガーだ!」
ここは、せっかくだ。かっこよく決めさせてもらおう!
「俺が……お前達、霜の巨人を倒すぜ!」
「「「な……?」」」
3人の幹部が驚いた顔でこちらを見る。
ベルトにはみっつのジュエル? らしきものが魔方陣みたいなサークルに埋め込まれている。
《Draw Touch Me? OK! アモネード♪ ~♪ アモネード♪ アモネード♪……》
おお! めちゃくちゃかっけぇ待機音!
俺はタイミングを見計らい、変身ポーズを決め、叫ぶ。
『聖着想!』
そして、鳴るかっこいい変――
《Let's Go-♪ OK、O、M、マジック―フォーム♪》
……は? なんだ……今の……プリ●ュアみたいな変身音だな……?
あれ……かっこいいアーマは? なんで体が虹色につつまれているんだ……?
なんか、怪しい。
俺が女神様の方を見ると、女神はテヘペロの顔をしながら、
「どんまい☆……魔法少女クン」
小さな、細い声で、女神は目を細めながらニヤリッ、と笑って言った。
……っっ!! なんだよ! 今小さい声で魔法少女とか言わなかったか?!
まさか……俺は……っく……からだが燃えるように熱い!! 体がとける! 光が! 虹色の光が!!
うわァァァァァ!!!!――――――――――――――――。
俺は気がつくと、目の前には驚いた顔をしたなんちゃらタイガーと、目をキラキラさせた幹部達がいた。
そして、俺は胸、下などに違和感を感じた。
ハハ……いやまさかね。気のせいだよ。
俺は自分の股間をさわった。
――ない。
――ない。
――ない!
俺の、俺のまだ卒業していない大事な俺の息子が……。
なんだよ、このかわいらしい青色のドレスは…?
はは……何かおかしいと思ったんだ。
――俺は、
――俺は、
かっこいい、仮面のヒーローになるどころか、
俺は魔法少女になってしまったようだ。
おまけ
ロキ「なぜぇぇ?! この偉大なるロ↑キ↓様がでないのだァ!」
作者「そ、それは・・・。それはロキ様があまりにも偉大すぎて書けませんでした!」
ロキ「そうかぁ・・・!! ははは!! やはり我は偉大ナリ!
今度はしっかぁり! と私を書くがいい!!」
作者「ははっー」
作者(こいつが空気キャラだなんて言えない・・・!)
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