-かなたパート-
僕は考え事をしながら街を歩いていた
もちろん考えていたことはさきほど僕が助けれた女性のことだ
背中まである長く綺麗な髪が印象的な美少女と呼ぶにふさわしい女の子・・・
僕の脳裏にはその子の顔が焼き付いていた
あ、紹介が遅れたね、僕の名前は御堂 かなた
現在高校二年で新年度か三年生に進級することになる
それは別にいのだけれど、ちょっとした気分転換に街を歩いていると、偶然何人もの男に絡まれている女の子を見つけてしまったのだ
そして気がつけば僕はその女性を助けていた
なぜ女性を助けたのか僕自身分からない
本当はああいう不良っぽいのは苦手なのに・・・
それにしても・・・
「ありがとう・・・か」
僕の脳裏には先程の女性の感謝の言葉と、その笑顔が思い浮かび、思わず笑みがこぼれてしまう
「それにしても、どうしたものかな・・・」
いいことをしたあとは気持ちがいいはずなのだが、今の僕はそれどころではなかった
僕自身のこれからの将来に関わる重大な問題を抱えているからだ
話は昨日の夜に遡る・・・
昨日の夜、自室でくつろいでいると、両親に呼ばれた
一体何なのだろうと思っていたのだが、父さんからとんでもないことを聞かされたのだ
「かなた、実はお前に重大な話があるんだ・・・
お前のこれからに関わる重大なことだ」
父さんは真面目な顔をしながら話を切り出してきた
一体何なんだろう?
それに僕のこれからに関わる重大な話って・・・?
「その前にかなた、お前今彼女とかいるか?」
「彼女・・・?いや、いないけど・・・?」
「・・・そうか」
一体何なんだろう?僕に彼女が居るかどうか聞いてきたと思ったら今度は深い溜息をついて・・・?
「実はな、お前の身体にはとある呪いがかけられているのだ」
「・・・は?」
僕は思わず聞き返していた
呪い?呪いだって?
いやいやいや、この科学万能の世の中に呪いとか言う非科学的なものがあるはずが・・・
「まあ、信じられないのも無理は無い
だが事実なのだ
このままではお前は呪いにより、女へ変わってしまう」
「な・・・っ!なんだってーーーーっ!!」
突然の言葉に僕は驚き大声をあげていた
女の子に変わる呪いだってっ!?
そんなのがあるはず無いじゃないかっ!
「お前の身体が完全に女性の身体へと変わる時間はあと1年・・・
あと1年でお前は完全な女になってしまう」
「は・・・はは・・・父さん、冗談・・・だよね?」
というかドッキリだよね?
今日はまだ3月だよ?
エイプリルフールと勘違いしてるんじゃないの?
「冗談ではなく、本当のことだ
だが、その呪いを解く方法もある」
呪いを解く方法だって・・・?
ということは、その方法呪いをとけば僕は女にならなくて済むのかっ!
「父さん、その方法って・・・?」
「それはね・・・
女の子とHをすることよ」
「・・・は?」
父さんと話をしていると母さんが横から割って入って来た
しかも呪いを解く方法を話しながら
はい?今なんとおっしゃいました?
え?女の子とHをする?
は?はっ!?
「はいーーーっ!!?」
女の子とエッチだってっ!?
な、なななな・・・なんてこと言うんだこの人はっ!!
「嘘みたいに聞こえるかもしれないけど、本当なのよ
それに女の子なら誰でもいいという訳ではないの
お互いを想い合う相手じゃないとこの呪いは解けないのよ」
な・・・なんてこった・・・
「だからね、かなた、悪いけどあなたには転校してもらうわっ!」
「て、転校だってっ!?」
「そう、今あなたが通ってる学校は男子校でしょ?
そんな所では出会なんてまず無いわよ?
だからあなたには城西女学院に転入してもらうわ」
じょ、女子校に転入だってーーーっ!?
冗談じゃないっ!
なんで男の僕がそんな所に行かないといけないんだっ!!
「ちょっと待ってよ、なんで男の僕が女子校なんかに行かないといけないんだよっ!!」
「なんでって・・・
そこならうまく行けばいいお嬢さんと知り合えるかもしれないでしょ?
それに万が一女性化した時の保険でもあるわ」
な・・・なんてこった・・・
「あの・・・せめて共学とかにならない・・・?」
「うーん、そうは言うけど、もう願書出しちゃったし・・・
それにみゆきちゃんにもかなたが行くって伝えてるし・・・」
「えーーーーーっ!!?」
うぅ・・・なんで僕の知らないところで僕の運命が決まってるんだろう・・・?
ちなみにみゆきとは僕の従兄妹で、今その城西女学院に通っている女の子だ
「さ、そういう訳だから早速今日からお化粧の練習とか、言葉遣いや立ち振舞の練習わよ、かなた♪」
母さんは嬉々としながら僕の手を引いていったのだった
・・・はぁ
僕は昨日の出来事を思い出し、何度目かのため息を付きながら家へと帰っていった
うぅ・・・なんで僕がこんな目に・・・
-亜希パート-
買い物から帰った俺は引き出しの前で固まっていた
まず理由の一つは俺が今まで着ていた男物の服が全て消えていたからだ
間違いない、これは母さんの仕業だろうっ!!
そしてもうひとつの理由・・・それは今俺が手にしているブラジャーとシパンツである
こんなものを持ったまま固まっているところを見られると変質者呼ばわりされてもおかしくはないのだが今はそれどころではない
もっとも女となった俺が持っていても不思議ではないのだろうが問題はそこではない
やはり元男としては女物の下着など見慣れているはずもなく、さらにこれが女の子の肌に触れるのかと思うとそれを想像しただけで顔が赤くなってしまう
早く仕舞えばいいのだろうが、一度意識してしまうとなかなかそこから離れられなくなり逆にさらに意識してしまうという悪循環に陥ってしまってる
しかもこの下着の柄にも問題があるだろう
ピンクや水色、さらに白に黒といった色とりどりのブラジャーとパンツ
さらにはフリルだのレースだのリボンだのといった可愛らしい柄
これを俺に付けろというのか・・・?
想像しただけで血を吐いてこの場に倒れてしまいそうだ
確かにブラジャーをつければ胸は安定するしパンツも今まで履いていたトランクスとは違いこの女の股間にもジャストフィットしてそれが何かの安心感をもたらす
必要性については現在実感しているため否定のしようがない・・・
しかしっ!!心が拒絶反応を示していた
元男として譲れない部分がそこにある・・・ような気がする
「亜希ちゃん?いつまで下着を握り締めているの?」
そんな俺をいつから見ていたのだろうか?母さんに声をかけられた俺は慌てて全てを引き出しにしまって言った
我ながら先ほどまでが嘘のような瞬発力だ
「あの・・・母さん・・・いつからそこに・・・?」
全てを仕舞いこんだ俺は恐る恐る母さんがいつからいたのかを聞くことにした
後で思えば聞かなければよかったと思うのだがこの時はまだそれに気が付かなかった
「んふふ、言っていいのかしら?
亜希ちゃんが買い物袋から取り出した下着を握りしめたり、見比べていたりしながら顔を赤くしていたところからよ♪」
「最初からかよっ!!」
どうやら母さんは最初から俺の一部始終を見つめていたらしく、テンパってた俺は全く気が付かなかった
「荷物をしまったのならちょっと来なさい、話があるの」
荷物をしまった俺は母さんに呼ばれリビングに行くと、とある学校のパンフレットがテーブルの上においてあった
どうやらここが次に俺が通うことになる学校なのだろうか?
「亜希ちゃんは4月からこの学校に通うのよ
ここはお母さんの母校でもあるの、とてもいい学校だから亜希ちゃんも気に入るはずよ」
母さんは俺に学校のパンフレットを見せるとそこには「城西女学院」と書かれていた
ん?女学院・・・?
「ちょっと待てーーいっ!!俺、女子校に通うのっ!?」
突然のことで俺は全力でツッコミを入れていたが母さんはさも当たり前のようにただ一言「そうよ♪」と言っていた
なんてこった・・・せめて共学なのかと思えば女子校かよ・・・
「でもねー、この学校編入試験があるのよ、亜希ちゃん勉強の方は大丈夫?」
なるほど、編入試験がるのか、それくらいチョロいもんさ
今の学校でも赤点はギリギリ回避できているんだしきっと大丈夫さ
「ああ、勿論、そのくらい軽いもんさ♪」
「そう?じゃあ、7×8は?」
7×8だって?ふ・・・俺も舐められたもんだ
7×8は・・・
「54だっ!!」
「・・・平安京は何年?」
平安京?ああ、社会か、社会は俺の得意種目だ
「鳴くぜウグイス平安京だっ!!」
ふふ・・・決まったぜ、俺の答えにさぞ母さんも驚いているだろう
なあに、このくらい朝飯前さ
「・・・それ何年よ」
む?違ったか?えっと・・・?
カナリヤ?ハト?
「はぁ・・・
亜希ちゃん、勉強頑張りましょうね・・・
あと数日したら編入試験があるからそれまでみっちりとお母さんが勉強見てあげるわ
もし落ちたら今の男子校で輪姦生活が待ってるわよ♪」
俺の答えに母さんは呆れながらため息をついていた
もしかして違っていたのかっ!?バカな・・・っ!!
それに落ちたら輪姦生活まっしぐらだってっ!?
突然女の子になった俺にそれはハードすぎるっ!!
せめて初めては好きな人と・・・
って、俺は何考えているんだ
「お・・・おう・・・」
「それとその言葉遣いも直しましょうね
亜希ちゃんは女の子なんだし、お嬢様学校に通うんだから言葉遣いや立ち振舞も完璧になるよう徹底的に指導してあげる
元キャリアウーマンとしての血が騒ぐわー♪
こう、出来の悪い部下を指導していくかのような高揚感・・・
お母さん久しぶりに仕事の鬼としてのスイッチが入っちゃったから覚悟しといてね♪」
「・・・はい」
こうして俺は今の母さんに逆らうことは危険だと本能が察知し素直に聞き入れた
そしてこの日から母さんに勉強と女としての立ち振舞、言葉遣いなどを文字通りスパルタ的に教育されることとなった
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