ホテルなどで相次ぎ発覚している偽装表示問題で、近畿日本鉄道(大阪)系の旅館「奈良万葉若草の宿三笠」(奈良市)が仕入れた食材の箱には、「オーストラリア産」「成型肉」などと明記したラベルが貼られていた。料理長(44)は「和牛と信じ込んでいた」と説明。チェック機能が乏しく、調理場のスタッフらが偽装を知りながら放置していた疑いもでてきた。奈良県は景品表示法に違反する可能性があるとみて調査する。

 関係者がラベルなどの撮影に応じた。三笠を運営する近鉄子会社の近鉄旅館システムズによると、旅館は9月以降、成型肉を使いながら会席料理(6300円)の一品を「和牛朴葉(ほおば)焼き」と表示。10月以降は子ども向けの「バンビ御膳(ごぜん)」(3150円)の一品も「和牛ステーキ」として提供していた。

 料理長は6月に三笠で勤務を始め、9月に料理長に就任。料理長が発注、メニュー作成など大半の権限を持ち、和牛表示は料理長の発案だった。料理長は納品時にチェックもしていたが「気付かなかった」と説明したという。