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【プロ野球】

今季32戦目ついに マーが負けた

2013年11月3日 紙面から

◇日本シリーズ第6戦 巨人4−2楽天

5回表1死二塁、ロペス(手前)に同点2ランを打たれた田中。捕手嶋=Kスタ宮城

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 2点を追う巨人が5回に楽天の田中を捉え、5長短打で3点を奪った。ロペスが同点2ラン。2死一、三塁では高橋由が中前へ勝ち越し打。6回にも2安打で1点を加えた。菅野は安定した投球で7イニングを3安打2点に抑えた。楽天の田中は力みが見られ、直球、変化球とも切れを欠いて12安打を許した。打線は3安打。2回の2点に終わった。

 マーが負けた。プロ野球のコナミ日本シリーズ2013は2日、Kスタ宮城で第6戦を行った。初の日本一に王手をかけて迎えた楽天(パ・リーグ)は、昨季から公式戦30連勝中だったエース田中将大投手(25)が先発。5回に巨人(セ・リーグ)打線につかまり、ロペスの同点2ランなど3失点で逆転を許した。田中は今年ワースト4失点で初黒星。対戦成績は3勝3敗のタイとなり、第7戦は3日、Kスタ宮城で行われる。

 まさか−。無敗伝説が崩れた。勝てば日本一。王手で迎えた大一番で、田中が今季初めての黒星を喫した。レギュラーシーズン24連勝。ポストシーズンも無傷の2勝。負けるはずのない絶対エースが敗れた。

 「力がなかったということ。ここ一番で力を出せなかったというのは、まだまだ僕がヘタクソということです」

 感情を失った表情が衝撃を物語る。Kスタは史上最多の2万5271人であふれ、場外の大型モニター前にも1万人以上のイヌワシ党が集結。誰もが日本一の瞬間を待っていた。その期待を裏切ってしまった。

 9イニングの完投。今季最多となる最後の160球目の直球は152キロを計測した。「最後までマウンドに立ってやろうという気持ちだった」。決勝打を許した高橋由を空振り三振に仕留めた。しかし、今季ワーストの失点4。残った結果は残酷だった。

 第2戦で日本シリーズでの球団初勝利を完投で飾ってから中5日。調整期間は十分だった。チームは東京ドーム3連戦に勝ち越し。第5戦の則本のロングリリーフに刺激を受け、満を持して向かったマウンドだった。

 この試合で決める。その決意が、全身に余分な力を加えていた。ピンチになっても、ミッショントラブルに見舞われたかのようにギアチェンジが機能しない。5回にズルズルと3点を失い、6回にも追加点を許した。

 レギュラーシーズンを含めて今季32試合目。集大成のマウンドで、大黒柱が折れた。「球が甘かった。確実に打たれた。良いところに投げられなかった。自分の力のなさです」。繰り返すコメントは怒気を含んだ。

 入団時には、岩隈という大黒柱がいた。その先輩が海を渡り、重責は背番18に移った。「負けたときこそ、きちんと自分の言葉で取材に答えないといけない」。田中は周囲に、そう話すようになったという。この最も重要な試合で、皮肉にも今季初めて「敗戦の弁」を語ることになった。

 今オフにもポスティングシステムを使ってメジャー挑戦する。これが日本最後のマウンドになる可能性もある。ただ、戦いは終わっていない。田中はブルペン待機も辞さない覚悟を見せた。「自分にできることをやります」。第7戦。その勝者が日本一を手にする。 (井上学)

 

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