歴史教科書:点数評価、宮城県議会が採択 「つくる会」請願

毎日新聞 2013年10月30日 東京夕刊

 宮城県議会は30日、市町村教委が中学校の歴史・公民教科書を採択する際、神話や天皇、「日の丸や君が代」などの項目を点数評価して反映させるよう県教委に指導を求めた「新しい歴史教科書をつくる会」県支部の請願を賛成多数で採択した。拘束力はなく、県教委は内容を確認して対応を検討するとしているが、例示された項目が恣意(しい)的だとして、政治の教育への介入を懸念する声も高まりそうだ。【久木田照子】

 ◇「政治の教育介入」批判も

 請願は2月、県支部が提出。県教委は「点数評価の例は聞いたことがない」とし、「他県などの状況を調べたうえで対応を検討する」としている。

 請願書によると、歴史教科書の記述について、神話、天皇、元寇、韓国併合など12項目を例に挙げ、学習指導要領が目標とする「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」を評価基準に採点し、点数で順位付けして優劣を示すよう求めた。

 例えば、同県内で使用されている教科書を点数評価すれば、神武天皇の記述がないため採択の判断が変わるとしている。

 公民教科書についても、宗教・家族、愛郷心と愛国心、日の丸と君が代など18項目で点数評価すべきだとした。ただし「各段階評価の総合点をもって順位づけを行うように各市町村教委を指導する」として具体的な点数の付け方などについては明示していない。

 「新しい歴史教科書をつくる会」宮城県支部は請願提出の理由について「現在は教科書を選ぶ根拠が明確に示されていない。自国を断罪する内容の教科書が選ばれる状態を是正したい」と説明する。

 県議会文教・警察委員会はこの請願を今月21日に採択。30日の本会議では、自民系会派の賛成多数で採択した。

 ◇採点法あいまい

 「新しい歴史教科書をつくる会」宮城県支部が独自に教科書採択の際の項目を挙げ、点数化した評価方法を提示した背景には、同会の教科書の採択が進まないことがある。

 同会宮城県支部は「一歩踏み込んだ評価を提案した。同じ会社の教科書が選ばれ続けるのは問題」と請願理由を説明。具体的な事項を作って採択に当たることは「公正かつ適切な採択」につながると主張する。ただし、どのような点数でどう評価するかなどの具体的な方法については記述がない。この請願に対し、市民団体や弁護士は反対を表明。「自由法曹団」同県支部は「請願の評価対象例は、『つくる会』が勧める教科書の点数が高くなるような項目を設定しており、特定の教科書を推薦するのに等しい」と指摘。請願の採択を「政治の教育への介入で、県議会の権限を逸脱する行為」(草場裕之支部長)と批判する。

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