規制改革会議 和食学ぶ外国人に在留資格与えるよう意見相次ぐ
和食のすばらしさを世界へ。老舗割烹(かっぽう)も大歓迎の、ある試みが始まろうとしている。
東京・新宿区にある寿司職人養成学校では、外国人の生徒が、日本人の先生に教わって、魚をさばいていた。
慣れない手つきで、恐る恐る寿司を握るのは、イタリア人のステファノさん。
将来の夢について、ステファノさんは「ミラノの日本料理店で勉強を始めて、日本料理店を開きたいと思っています」と語った。
この学校では、これまで世界50カ国以上、およそ300人が、寿司職人になるための技術を学んできたという。
台湾から来た受講生は「寿司店。日本料理店を(地元で)やるつもりあります。(どこで?)台湾の台北でしょうね」と話した。
今後、こうした外国人の調理師たちが、和食を世界にアピールする担い手となるかもしれない。
政府の規制改革会議が31日に開いた分科会で、出席者から、日本で働きながら和食を学ぶ外国人に対し、在留資格を認めるよう求める意見が相次ぎ、法務省も、前向きに検討する意向を示した。
実はこれまで、外国人調理師が日本で働くには、大きな法律の壁があった。
これまでは、外国人が学校を卒業しても、日本で働きながら和食の修業を積むことはできなかった。
日本のレストランで働くことができる外国人調理師は、まずフランス料理やイタリア料理など、外国独自の料理の調理師であることと、さらに、自国での実務経験が10年以上あるなどの条件を満たした場合に限り、料理人としての在留資格が認められてきた。
その一方で、日本の料理学校を出た外国人は、働きながら日本料理の技術を学ぶことなどは、認められなかった。
東京すしアカデミーの福江 誠社長は「学校で勉強して、さらに日本のいい店で就職したいという方は多いが、現実は、ビザの問題があって働けない」と話した。
こうした中、検討が始まった外国人調理師への規制緩和の動き。
政府は、日本文化を世界に広め、経済成長につなげる「クールジャパン戦略」に力を入れているが、12月に、和食がユネスコの無形文化遺産に登録される予定の今は、まさに、和食の認知度を海外にアップさせるチャンス。
日本で学んだ外国人が、帰国後、海外で和食の魅力を伝えることで、日本の食文化の海外展開の促進につながるとの狙いがあるとみられる。
そして、期待の声は老舗の料理店からも聞かれた。
和食を学ぶ外国人に在留資格を与え、和食の魅力を伝えてもらおうという動きに、老舗の割烹料理店、東京・中央区の江戸割烹 米村の藤野泰弘さんは「海外の外国人の方で日本食を勉強したいという方の在留資格を認められることは、われわれとしては、大歓迎。海外に、本当の日本食がどういったものかというのを学んで、発信していただきたいと思っている」と話した。