維新:大阪府給与カットに岐路 看板政策、強まる批判
毎日新聞 2013年11月03日 11時38分(最終更新 11月03日 12時53分)
大阪府が独自に実施している職員の給与カットについて、府人事委員会が先月、今年度末で終了するよう松井一郎知事(大阪維新の会幹事長)に勧告した。公務員給与や議員歳費の削減など「身を切る改革」で民意を得てきた維新だが、他会派や身内からも見直しを求める声が出始め、看板政策は岐路に立っている。【熊谷豪】
「職員の生活悪化と将来不安が一層深刻な状況に陥っている」
本格的な労使交渉を前にした10月30日、職員組合の一つ「府関連労働組合連合会」は小西禎一副知事に対し、勧告通りの給与アップと、6年続く独自カットの終了を求める要望書を提出した。府は8日に1次回答するよう求められている。
10月17日に出された勧告は「もはや緊急避難措置とは言いがたく、許容しえない」と過去にない強い表現で給与カットを批判した。
しかし、松井知事は府庁応接室で栗原良扶委員長(弁護士)から勧告書を受け取ると、「民間企業は厳しい。ストンとこない」と即座に反論し、記者団にも府の財政状況などを挙げ、勧告に従わず、給与カットの再延長の可能性を示した。
◇給与減、民間の倍
独自の給与カットは、橋下徹知事(現大阪市長、維新代表)が就任後、2008年8月に始めた。3年の時限措置だったが、11年に今年度末までの3年再延長を議会に提案し可決された。再延長するには、再び関連条例の可決が必要だ。
人勧の調査では、07年から13年にかけ、府内の民間企業の平均月給は2万1681円下がり、39万2630円になった。府職員(行政職)の場合、平均月給は4万7137円減の36万3194円(平均年齢43.2歳)だ。
府によると、計6年の給与カットの削減効果は1600億円。橋下知事の就任前に10年連続赤字だった一般会計の実質収支は08年度から黒字を続ける。ただ、府債残高(12年度決算)は6兆2510億円(府民1人当たり約70万円の借金)に上り、松井知事が指摘するように厳しい財政状況に変わりはない。
◇政治状況一変
一方、維新を取り巻く状況は変わった。08年の独自カット条例の制定には共産、社民両党のみが反対し、統一地方選直前だった11年の延長時は全会派が賛成した。