選手の前で挨拶し、拍手される阪神・掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター=安芸市営球場(撮影・白鳥恵)【拡大】
午後3時21分、安芸ドームの一角で「プロジェクトF」が動き出した。藤浪が課題とされてきたインステップの矯正に本格着手。ついにメスが入った。
「下半身の使い方、体重移動の仕方ですね。いまのところ違和感はないです。もともと、そういう(理想の)イメージがあった」
投球時に右足のつま先から真っすぐネットに向け、ゴムチューブが敷かれ、そこをまたがないように左足を踏み込んでネットスロー。最初はセットポジション、途中からはワインドアップで行った。およそ30分間、中西投手コーチがマンツーマン指導。計64球を投じた。改善点は左足にあるとみられたが、軸足の右ひざとつま先にあった。
藤浪の右ひざはこれまで、体重移動の際に三塁方向に折れていた。そのため、必然的に理想よりも3足分、三塁側に左足が着地。いきなり完成形を求めれば、これまでとフォームが大きく変わるだけにまずは1足分、右内転筋を絞るイメージを植え付け、本塁に真っすぐ踏み出せるように繰り返した。また、プレートを踏む右足のつま先が二塁方向にむいていたのをプレートと平行になる形に修正した。
投球フォームを矯正すれば、今季、被打率・283と苦戦した左打者(右打者には・194)対策につながる。というのも、従来のクロスステップなら、直球がシュート回転しやすく、左打者の内角が攻めにくい。だが、理想的な投げ方も身につければ「角度のいいボールが左打者の懐に投げられる」と同コーチ。今季10勝からのさらなる躍進に直結するというわけだ。右腕も納得の表情で今後を見据えた。
「毎回できるわけじゃないので、(フォームを)固めていこうということです」
発展途上中の19歳。2年目のジンクス打破、そして大エースへ-。安芸で新たな1歩を踏み出した。 (小松 真也)
(紙面から)