火垂るの墓

火垂るの墓

最新作「かぐや姫の物語」公開記念“秋もジブリ!”高畑勲監督の代表作を2週連続放送!

妹を守りたい、その一心に突き動かされ少年は戦時下を懸命に生きようとした…

火垂るの墓 高畑勲監督の14年ぶりとなる新作「かぐや姫の物語」が、11月23日(祝)にいよいよ劇場公開!誰もが知っている昔話「竹取物語」を題材に、かぐや姫はなぜ地球にやってきて、そしてなぜ月に帰って行ったのか。彼女の罪と罰は何だったのか。かぐや姫の真実を描き出す!

そして、その公開前夜には高畑監督の代表作のひとつである感動の名作「火垂るの墓」が「金曜ロードSHOW!」に登場!! 番組の後半で、「かぐや姫の物語」特別映像をテレビ初放送します!最後の最後までお見逃しなく!

主人公の清太は海軍大尉の長男で、心臓を患っている母と4歳の妹・節子と幸せに暮らしていた。しかし昭和20年6月の神戸大空襲で家が焼け、母も死亡。西宮の親戚の家に身を寄せることになったが、口の悪い叔母との同居に耐えられず、節子と2人、近くの横穴で暮らすことに。誰にも気兼ねせず、食べたい時に好きなだけお米を食べられる自由を手に入れたはずの清太だったが、そのうち食料は尽き、節子はみるみるうちに衰弱。清太は妹のために奔走するのだが、14歳の少年にできることは限られていた…。

火垂るの墓 原作は野坂昭如が自らの体験をもとに物語を構築した同名小説。作品の発表後、野坂の元には何度も映画化のオファーが舞い込んだというが、「かわいそうな戦争の犠牲者の物語に仕立て上げられたら、なおぼく自身、いたたまれないし、(中略)妙にあっけらかんとしていたあの時代をまるごと、描いてもらいたい気持も強い」(公開時パンフレットより)という野坂自身のこだわりが強く、映画化は不可能と思われていた。しかし、高畑監督のアニメ化のオファーを野坂は快諾。主人公の清太に、物質的に恵まれていて我慢することを知らない現代の子どもたちの姿との共通点を見出した高畑監督は、戦時中を自分なりに生きようとした真っ直ぐな清太の姿を、非常に共感度の高い人物像として描き出すことに成功した。

清太の人物像とともに物語の核となっているのが、非常にリアルな生活の描写だ。清太と節子が住むことになる叔母の家や、空襲中に清太が盗みに入る家々の間取り。清太たちの味気ない食事風景と、敵機を避けて畑に飛び込んだ清太の目の前に現れるトマトの赤。蛍の放つ弱々しい光と、空まで焼けるような空襲の炎。全編に渡って淡々と描かれる風景の切なさと、4歳ながらに兄を気遣う節子の「蛍」のような可憐な姿に、物語に引き込まれずにはいられない。

用意周到な両親が遺してくれた疎開荷物もあり、銀行には貯金もあったはずなのに、なぜ。意地悪な叔母に頭を下げさえすれば、毎日の食べるものと住む場所に困ることはなかったはずなのに、なぜ。妹が限界まで衰弱する前に、なぜ。たくさんの「なぜ」と清太が直面する現実に身が引き裂かれそうになるが、その問いはそのまま、現代を生きる自分たちへの問いとして返ってくる。14歳の自分なら、何ができるか。どう考えて、どう行動するか。そして今、何を考えるべきなのか。戦争とは何か?そして、生きるとは?制作から四半世紀を経た今も、巨匠の名作は私たちにいくつもの重い問いを投げかけている。今なお衰えることをしらない高畑勲監督の新作公開の前夜、感動の名作をご堪能あれ!

戦火を生きた幼い二人の一瞬の命の輝き― 兄と妹の温かくも悲しい愛の物語

火垂るの墓 昭和20年6月。神戸に空襲警報が鳴り響いた。14歳の清太(辰巳努)は心臓の悪い母(志乃原良子)を先に避難させ、家を片付けてから妹の節子(白石綾乃)を背負って逃げようとするが、道は火の手に閉ざされてしまう。炎を避けて海へ向かい、空襲がひと段落した後で街に戻った清太が目にしたのは一面の焼野原だった。そして避難所である学校へと向かった彼は、変わり果てた姿になった母と対面することになる。

火垂るの墓 母が死んだことを節子に言い出せないまま、西宮の遠い親戚の元に身を寄せることになった清太。海軍大尉の父を持つ清太が焼け跡から掘り出してきた珍しい品々に叔母(山口朱美)は喜び、清太と節子を歓迎するが、次第に2人に辛くあたるようになる。学校や学徒動員へも焼けてしまったのを理由に行くことなく、家でゴロゴロしている清太と、場所も時間もわきまえない節子の無邪気な言動に耐えられなくなってしまったのだ。一方清太も、母の着物で手に入れたお米を自分の子どもたちにばかり食べさせる叔母のあからさまな意地悪と口の悪さに我慢の限界を迎え、ある日、叔母の家を出ることを決意。空襲のたびに避難していた誰も使っていない池のほとりの防空壕で、節子と2人で暮らすことにする…。

火垂るの墓

キャスト

<清太>
辰巳努
<節子>
白石綾乃
<母>
志乃原良子
<未亡人>
山口朱美

スタッフ

<企画/製作>
佐藤亮一
<プロデューサー>
原徹
<監督/脚本>
高畑勲
<原作>
野坂昭如 「火垂るの墓」(新潮文庫版)
<音楽>
間宮芳生
<キャラクターデザイン/作画監督>
近藤喜文
<レイアウト/作画監督補佐>
百瀬義行
<美術監督>
山本二三
<色彩設計>
保田道世
<撮影監督>
小山信夫
<音響監督>
浦上靖夫
<編集>
瀬山武司