昭和20年6月。神戸に空襲警報が鳴り響いた。14歳の清太(辰巳努)は心臓の悪い母(志乃原良子)を先に避難させ、家を片付けてから妹の節子(白石綾乃)を背負って逃げようとするが、道は火の手に閉ざされてしまう。炎を避けて海へ向かい、空襲がひと段落した後で街に戻った清太が目にしたのは一面の焼野原だった。そして避難所である学校へと向かった彼は、変わり果てた姿になった母と対面することになる。
母が死んだことを節子に言い出せないまま、西宮の遠い親戚の元に身を寄せることになった清太。海軍大尉の父を持つ清太が焼け跡から掘り出してきた珍しい品々に叔母(山口朱美)は喜び、清太と節子を歓迎するが、次第に2人に辛くあたるようになる。学校や学徒動員へも焼けてしまったのを理由に行くことなく、家でゴロゴロしている清太と、場所も時間もわきまえない節子の無邪気な言動に耐えられなくなってしまったのだ。一方清太も、母の着物で手に入れたお米を自分の子どもたちにばかり食べさせる叔母のあからさまな意地悪と口の悪さに我慢の限界を迎え、ある日、叔母の家を出ることを決意。空襲のたびに避難していた誰も使っていない池のほとりの防空壕で、節子と2人で暮らすことにする…。