ゴールデン帯のドラマとしては過去10年の連続ドラマで最低の初回視聴率4・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したTBSドラマ「夫のカノジョ」。主演の川口春奈(18)は映画の舞台挨拶で異例のPRを行うなど早くもスクランブル体勢だ。30年以上にわたり放送されたすべての民放連続ドラマを見続けている“日本一ドラマを見ている男”北川昌弘氏は低迷の理由について「TBSの無策に原因はある」と断言する。
あまりの低さにいてもたってもいられなかったのか。26日に主演映画「マダム・マーマレードの異常な謎」の初日舞台あいさつに登場した川口は司会者から「怖いものは?」と問いかけられると「昨日から数字が怖い」と前日放送された主演ドラマの視聴率に言及。映画のイベントにも関わらず「木曜午後9時『夫のカノジョ』見てください」と必死のPR活動を行った。
川口にとってはゴールデン帯初の主演ドラマ。栄えある作品が壊滅的な視聴率となったのだから仕方がない。この必死の訴えが利いたのか、31日の第2回放送の視聴率は0・1%上げた4・8%。とはいえ、いまだ低いことには変わりなく、ネットでは「消費税より低い」などと揶揄されている。
だが内容に難があるわけではない。ドラマ自体については「ベタなんだけど面白い」「視聴率悪いって言われてたけど意外にいい」などネット上では好評だ。ドラマ評論家でアイドル評論家の北川氏も好評価する一人。「この視聴率の原因は川口さんなど演者のせいではない。すべてTBSのやる気のなさにある」と責任はTBSにあると語る。
苦戦の原因として思い浮かぶのが、同じ時間帯に放送されているテレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」の存在。人気ドラマの続編でここまで20%を超える視聴率を叩き出している。北川氏によればこの強力ライバルに対して、TBSは無策だった。
「例えば『リーガルハイ』(フジテレビ系)という強烈なライバルが裏番組にある日本テレビの『ダンダリン』はライバルよりも1週早く放送をスタートすることで、視聴者を少しでもつかもうとしていた。だが『夫のカノジョ』は『ドクターX』よりも1週遅くスタートしている。同時にスタートしても厳しい相手に対して、みすみすアドバンテージを与えれば苦戦するのは目に見えていた。本当に視聴率を取る気があったかも疑わしい」
そもそも木曜9時のドラマはかつては「HOTEL」「渡る世間は鬼ばかり」「3年B組金八先生」が放送されたTBSの看板枠。テレビ朝日のドラマは常に後塵を拝していた。
ところが2011年10月にTBSが若者向けドラマ枠「木曜ドラマ9」に変更したことから流れががらりと変わる。テレビ朝日は「DOCTORS~最強の名医~」など“渡鬼”世代のファンにも見やすいドラマがヒット。一方、TBSは若者が共感しやすい主人公の成長物語を描いた作品をその後作り続けたが「成長を描くために最初の段階ではハードルを下げた、ろくでもないところばかりの魅力のない主人公ばかり。どこかのハードルが下がっても、そこを補って余りある魅力を持つ主人公でないとゴールデン帯のドラマはうまくいかない」と肝心の若者からもそっぽを向かれ、視聴率10%を切る作品ばかりだ。
「もともと同時間帯のドラマの戦いは小さな作品の差が大きな視聴率の差となって出る。結局、TBSはテレビ朝日を育ててしまったようなもの。この結果を謙虚に受け止めて、TBSはドラマの時間帯を変えるべきでしょう」(北川氏)
積もり積もったTBSの失敗が「夫のカノジョ」で“倍返し”となった格好で、すべては自らの撒いたタネなのだ。
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