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【ラグビー】10人の「外国人選手」が内に秘める、それぞれの"大和魂"

2011.09.06

  • 斉藤健仁●取材・文・写真 text&photo by Saito Kenji

 母国から家族と離れて、海外でラグビーをしている姿を想像してほしい。しかも数ヶ月ではなく3年間……。その上で、母国で代表になる権利を捨ててまで、その国の代表を選ぶ。そういった決断をし、外国出身選手は日本代表になり、中には帰化する選手もいる。 

 トンガ出身で高校から日本でラグビーを始めた29歳のNO8ホラニ龍コリニアシは、2007年に日本国籍を取得。外国出身選手が多いことに対して「別に気にならないですね。日本人ですから」とキッパリ。日本人女性と結婚し、帰化時に「龍」の字を入れ、腕に「大和魂」という字も彫っている男は「W杯では日本にラグビーで恩返しをしたい!」と意気込む。ちなみに愛読書は「週刊少年ジャンプ」だ。

 BKの中心選手で、「将来は日本で先生になりたい」というCTBライアン・ニコラスと、「福岡が大好き!」というFBショーン・ウェブの2人は1年以上前から帰化申請し、7月20日によやく認められた。7年前に来日した2人は、NZ国籍を変えず日本代表としてプレーしてきたが「日本人としてW杯に出場したかったから、日本人になれて嬉しい!」と口を揃える。登録名はそれぞれ「ニコラス・ライアン」、「ウェブ将武」となった。

 日本代表で最年少の22歳であるNZ人のFLマイケル・リーチも、ホラニと同じく高校、大学と日本でプレーし今年で8年目。父がNZ人、母がフィジー人のため、両国の代表選手になることもできたが、日本代表を選択。将来の夢は「母校の高校で指導者となること」。先輩たちが日本国籍を取得してW杯に出場することに対して「やっぱり嬉しいですね!」と声を弾ませた。

 LOトンプソン・ルークも昨年、日本国籍を取得。日本代表や東芝で活躍したルワタンギ・侍バツベイの弟FLバツベイ・シオネも6月に帰化が認められた。他の4人の外国出身選手も、当然、過去に3年間以上日本に住んだ経験がある。日本を愛し、日本で長年ラグビーを続けている彼らは、単なる「助っ人外国人」的な存在ではない。

 確かに「国籍主義」に慣れている一般の人から見たら「外国人が多い」と感じてしまうことも理解できる。ラグビーをしている子どもたちが、外国出身者がばかりのチームを目の当たりにし「日本代表を夢見ることがきるか?」という指摘もわからなくはない。しかし、日本が世界に近づいていくプロセスの中で、今、彼らの力が必要なことも事実だ。

 カーワンHCは「今後、日本協会として日本人育成に力を入れて、(日本でW杯が開催される)2019年には日本人だけでプレーしてほしい」、菊谷主将も「日本のファンの人が日本人だけでチーム作りたいというなら、2019年に向けてまず結果を出したい」とコメントしている。

 今後、より多くの人にラグビー日本代表を応援してもらうために、そしてラグビー人気を向上させるためには「日本人スター選手」の存在は不可欠。育成により力を入れて日本人選手の多い代表チームをいくつか編成できればそれに越したことはないだろう。

 しかし、2019年のホスト国として、この9日から始まるW杯で日本の成長を世界にアピールするために、日本を心から愛し、大和魂を持って闘う外国出身選手を含めた日本代表を心から応援したい。

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