水俣病:「終わっていない」 外交会議前に催し、患者の実態訴える 水俣で水銀条約問うシンポ/熊本市で歴史など紹介 /熊本

毎日新聞 2013年10月06日 地方版

 水銀規制の「水俣条約」を採択する外交会議が9日から熊本市などで開かれるのを前に5日、二つの催しが始まった。水俣市では「水俣から水銀条約を問うシンポジウム」が、浜町の市公民館で2日間の日程で開幕。熊本市中央区上通町の「びぷれす広場」では水俣病の歴史や地元物産を紹介するイベントが始まった。【笠井光俊、取違剛】

 シンポジウムには、化学物質や環境問題に関する国際的なNGOネットワークIPENに関連する世界約30カ国の約40人を含む100人以上が参加した。6日は、各国からの参加者が世界の水銀汚染事例を報告する。

 水俣病の被害者団体などで作る「水俣から水銀条約を問う会」が主催。初日は水俣病問題の現状や水俣条約の課題などについて、日本側の参加者から報告があった。

 被害者からは、胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんが「水俣病の訴訟で(原告患者側勝訴の)判決が出ても、何も変わりません。水俣病問題は終わっていません。そのことをしっかり考えてほしい」と訴えた。

 IPENに加わっている「化学物質問題市民研究会」(東京)の安間武さんは、水俣条約について「水銀汚染の責任や補償に関する記述がないなど不十分な点は多いが、条約に書かれていない規制を設けたとしても、何の問題もない。日本政府はしっかりやるべきだ」と指摘した。

     ◆

 「びぷれす広場」では、患者らが裁判闘争で救済の道を開いてきた歴史のパネル展示や、まちおこし団体による農薬を使っていない野菜の販売などがあった。11日まで。

 首相官邸前で遺影を抱え、巻紙に記した声明を読み上げ救済を訴える水俣病患者。環境省前で座り込む女性患者たち……。「水俣病被害者の会」のパネル展示は、被害者らが国や県、原因企業チッソを相手に戦ってきた歴史を示す。「多くの患者が今も救済されず苦しむ。政府が病像を狭く設定し患者を切り捨てているためだ」。海外からの会議参加者にも見てもらうため、水俣病の現状を日本語と英語で紹介した。

 パネルを作った患者支援団体の北岡秀郎さん(70)は「条約に実効性があるかどうかは疑問だが、いい機会なので大いに水俣病の実態を訴えたい」。会場を訪れた熊本学園大2年、鬼海里保さん(20)は「子供のころから学校で習ってきたが、表面的にしか知らない。もっと深く知りたい」と話した。

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