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フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物処分
ポイント
フィンランドには原子力発電所が2カ所あり、東側のロヴィーサ原子力発電所ではロシア型加圧水型原子炉(VVER)2基、西側のオルキルオト原子力発電所ではスウェーデンから導入した沸騰水型原子炉(BWR)2基が運転中です。
ロヴィーサ原子力発電所を運転するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)は、北欧の大手エネルギー企業フォルツム社の子会社です。フォルツム社は株式上場企業ですが、その株式の過半数をフィンランド政府が保有しています。
オルキルオト原子力発電所はテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)が運転しています。この会社は、その親会社に電力を売電する民間の電力会社です。
フィンランドでは総消費電力量の約14%(2007年)を輸入に頼っている一方で、2005年よりオルキルオト原子力発電所で3号機の建設が進められています。オルキルオト原子力発電所3号機は欧州加圧水型原子炉(EPR)であり、2014年には商業運転を開始する予定です。さらに原子炉の新設の動きがあり、2010年7月には、TVO社のオルキルオト4号機導入計画、及び原子力発電事業に新規参入を図るフェノボイマ社の発電所の立地計画の2つが政府及び国会の承認を受けています(実際に建設するには、別途、事前に建設許可を受ける必要があります)。2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故後も大きな政策変更は生じていません。
フィンランドは1994年に原子力法を改正し、使用済燃料の輸出入を禁止しています。原子力発電所で発生する使用済燃料は、各発電所で中間貯蔵されています。原子炉から取り出された燃料は、原子炉建屋の燃料プールで数年間冷却した後、所内に別途設けられた中間貯蔵施設に移されます。
オルキルオト原子力発電所では、1987年から所内の中間貯蔵施設が操業しています。建設中の3号機等から発生する使用済燃料の貯蔵に対応するために、容量拡大の工事が行われています。
一方、ロヴィーサ原子力発電所(ロシアから原子炉を導入)では、使用済燃料を1986 年まではロシアに返還していましたが、以降は所内で中間貯蔵しています。2001 年に新たなプール貯蔵施設が操業を始めました。
フィンランドで処分の対象となる高レベル放射性廃棄物は、オルキルオト原子力発電所とロヴィーサ原子力発電所から発生する使用済燃料です。フィンランドでは、これらの使用済燃料を再処理せずに、そのまま高レベル放射性廃棄物として処分する直接処分方式をとっています。1994年の原子力法改正時に、使用済燃料を含めて、フィンランドの原子力発電で発生する放射性廃棄物は、自国内で最終処分しなければならないことが法律に明記されました。
フィンランドでは、後述するように、原則決定という法律に基づく手続きを経て、2001年に高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の最終処分場の建設予定地がオルキルオトに決定しています。ただし、最終処分場の建設が許可された訳ではありません。実際に使用済燃料の処分を開始するためには、処分実施主体のポシヴァ社が別途、法律に基づく形で処分場の建設許可申請(2012年予定)、操業許可申請(2018年を予定)の2つのステップで、それぞれ許可を得なければなりません。
最終処分場の建設許可を取得する前では、承認を受けた当初計画での処分容量を拡大する必要が生じた場合には、それを反映した計画について、改めて政府及び国会の承認をうける必要があります。
TVO社のオルキルオト原子力発電所での原子炉増設計画に対応する形で、ポシヴァ社はオルキルオト最終処分場における使用済燃料の処分容量拡大計画の原則決定の申請をしてきました。オルキルオトが最終処分地に決まった2001年時点では、運転中の原子炉4基から発生する使用済燃料について最大4,000トン(ウラン換算、以下同じ)を条件として計画が承認されていましたが、現時点では、オルキルオト3号機、4号機で発生する使用済燃料を含めて最大9,000トンの処分計画が承認されています。
フィンランド
2011年 フィンランド | 単位: 億kWh (=0.01 x GWh) |
総発電電力量 (Total Production) | 734.81 |
---|---|
- 輸入 (Imports) | 176.56 |
- 輸出 (Exports) | -38.04 |
国内供給電力量 (Domestic Supply) | 873.33 |
国内電力消費量 (Final Consumption) | 802.46 |
source: IEA統計 «Energy Statistics 2013, IEA»