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国際
【一筆多論】論争呼ぶ米国の新軍事戦略論 佐々木類
2013.11.2 08:25
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日米両国内で今、アジア・太平洋地域における新たな軍事戦略論が注目を集めている。「オフショア・コントロール(沖合制御、OC)」構想だ。平たく言えば、中国への「経済封鎖論」である。多国間の枠組みで海上交通網を遮断し、中国との軍事紛争を穏便に終わらせる「出口戦略」でもある。紛争終結のあり方まで提示した点が、他の構想と違って目を引く。
OC構想は、元海兵隊大佐で米国防大研究所のT・ハメス上級研究員が昨年6月に初めて、同所発行の機関誌「戦略フォーラム」に発表した。これを検証した米海軍分析センターのエルブリッジ・コルビー主席分析官が今年7月、米外交問題専門誌「ザ・ナショナル・インテレスト」誌上で批判したことから大論争となった。
興味深いので、OC構想と両氏の主な論点を紹介したい。
OC構想は米中両国の軍事紛争を想定した戦略だが、中国の領空・領域に侵入して中国本土のインフラ(社会基盤)や軍事拠点を破壊することはしない。海上貿易を阻止して経済的に疲弊させ、同盟国を防衛するのが最大の狙いだ。中国は核保有国で、共産党政権の崩壊を目指すような性急な戦略は核兵器使用の誘惑を惹起(じゃっき)し、かえって危険だという前提に立つ。
具体的には、武力行使を伴う紛争の勃発後、攻撃型原子力潜水艦や機雷、限定的な航空兵力を使うことで、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線の大陸側海域を中国軍に使わせない。その上で中国が中東からの原油輸入で利用するマラッカ海峡などを封鎖する。この際、日本やオーストラリア、東南アジア諸国を含めた同盟国や友好国の協力が不可欠とする。
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