【伊藤誠】戦後、中国や旧ソ連などから多くの引き揚げ者を迎えた舞鶴市民の奉仕の心を振り返る企画展「Maizuru Spirits―舞鶴のおもてなし―」が3日から、舞鶴引揚記念館(同市平)で始まる。写真パネルや公文書などで当時の様子を紹介する。

 戦後まもなく、旧満州へ渡っていた日本人やシベリアで抑留されていた日本兵らの帰国が始まった。舞鶴港では1958(昭和33)年までの13年間で66万人余りを迎えた。

 各地区の婦人会が中心となってお茶やふかしイモで接待したほか、厚生省(当時)舞鶴地方引揚援護局での慰問会や駅での見送りなど、市民一体でボランティア活動に尽くした。

 企画展は、こうした舞鶴の「おもてなしの心」を今に伝えるのがねらいだ。婦人団体の先頭に立ち、「引き揚げの母」ともいわれた故・田端ハナさんのエピソード、引き揚げ者を出迎える市民や歓迎看板の写真などのパネルなど20点を展示。舞鶴へ向かう引き揚げ船に向けて、当時の舞鶴市長がラジオ放送を通じて歓迎メッセージを送った際の原稿(1953年)など実物も7点含まれる。

 企画展は来年1月31日まで。また、これを機に、引き揚げ者を歓迎する市民の様子がわかる資料の寄贈を一般に求める。所有権は市に帰属し、今後の展示会などで活用するという。

 いずれも問い合わせは舞鶴引揚記念館(0773・68・0836)へ。