和田監督(左)から指導を受ける今成【拡大】
澄み渡る青空、カツオの匂い混じる潮風、そこかしこで跳ねるバッタ…。いつもと変わらない南国の風景の中に、んっ!? 違和感-。投内連係が始まると、見慣れないシルエットがサードへ。真っさらな内野グラブを手にした今成だった。
予想外の展開に、午前中からスタンドに詰めかけた約300人の観衆、報道陣の頭上にそろって『?』が浮かぶ。仰天コンバートの意図を、和田監督が説明した。
「適性としてできる可能性があるところはチャレンジさせる。初めてにしてはしっかりと動けている。『あっ、いけそうだな』という感触はある。打撃力からすれば、守れるところさえあれば、レギュラー争いに入ってこられる力があるんでね」
捕手登録の今成だが、実質的には外野手だった。今季も福留の離脱中には右翼をカバーしたが、お世辞にも上手いと言える代物ではなかった。ポロリ、ポロリ…と拙守を繰り返し、今季だけで3失策。出場試合が限られる中で、打率・265を残した高い打撃力が相殺されるような“もったいなさ”があった。
そこで、新加入の高代内野守備走塁コーチが三塁転向を発案。キャンプ初日から構想を具現化し、雨あられのノックを浴びせた名ノッカーは「CSでも(広島・前田健の)あれだけ難しい球をタイムリーにする打撃力がある。昔も、捕手の江藤(当時広島)や木村拓(同)を内野手にした。大いに可能性はある」と経験を振り返り、こう続けた。