WiLL 11月1日(金)14時51分配信
「ネット選挙運動」(ネット選挙)が解禁されて初めての国政選挙で様々な分析がなされているが、多くの世論調査の分析により、ネットが有権者に与えた影響力はそれほど大きくはないことが判明しつつある。
「(参院選で)最も参考にした情報源について、『候補者や政党のインターネット上の発信』を挙げた回答はわずか三・一%」(二〇一三年七月二十九日付、産経)
「投票先を決める上でインターネットの情報を『参考にした』と答えた人は約一割」(七月二十二日付、共同通信)
など、年齢層によってばらつきはあるだろうが、まだ始まったばかりのネット選挙運動は大勢を決するほど芳しい効果を有権者に与えていないのは事実のようだ。
しかしそんななかでも、今回の山本の「大番狂わせ」は数少ないネット選挙運動の効果であるとして、山本の当選直後から各所で喧伝されている。たとえばフリージャーナリストの上杉隆は、「ネット選挙の勝利者は山本太郎と三宅洋平である」(FM番組)として、Twitterやフェイスブックの利用方法に注目。
ネットの活用によってこの両者が支持を拡大し、ゼロから当選したというニュアンスで論評した。特に山本陣営のネット利用は、その当選が明らかになった直後から「ネットの全面的活用による勝利」というニュアンスで続けざまに論評される。
「ネットをフル活用の山本太郎氏陣営/陣営幹部は『ボランティアの力で公示日に約一万四千箇所の掲示板全部にポスターを貼ることができた。これが今回の勝因の一つ』」(七月二十三日付、読売)
「七月に山本太郎氏のサイト訪問者数が急増。特に選挙前日の伸びは他候補者を圧倒/山本太郎氏はHP、ブログ、Facebook、Twitterなど各メディア別の訪問者数ランキングでも、他候補者を引き離す」(七月二十六日付、 VALUESトピックス)
実際、山本は「選挙運動を手伝ってくれるボランティアを募集」と盛んにネット上で喧伝し、公示前までに最終的に一千二百人とも一千三百人ともされる人間が集まったという。
「最年少は二十歳、最年長は九十一歳と年齢層も幅広い。老若男女を問わない」(BLOGOS)
というこれらの・山本親衛隊・は無論、山本の当選に「戦術的に」一役買ったことは紛れもない事実であろう。が、彼がネットを巧妙に利用し、その得票の全てをインターネットから獲得した、という特に上杉のような典型的な絶賛の論調は事実ではなく、噴飯物である。
なぜなら先に述べたとおり、山本が獲得した約六十六万票のうち、その半数近くはもともと東京に存在した社民党系の基礎票を土台としたものであり、山本の「カリスマ性」や「主張」にインターネットで初めて触れ、全くのゼロから「オルグ」られた「山本の開拓者たち」ではないからである。とはいえ問題は、山本が選挙中に積み増した残り三十万人の存在だ。
最終更新:11月1日(金)14時51分