投手を定位置より打者寄りにして行われた打撃練習=Kスタ宮城で(佐藤哲紀撮影)
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このままでは終われない。王手をかけられて敵地・仙台に乗り込んだ巨人。第6戦の目標はただ一つだ。今季無敗の右腕・田中を打ち負かす。「打倒・田中」への決意を聞かれた原監督の声には、気合がみなぎっていた。
「その一点です。その考え、その目的に向かって励行するのみです」。開始前の円陣でも思いは変わらない。熱き言葉で絶不調の打線に活を入れた。「ここから強いのがジャイアンツ。何も心配することはない!!」。さらに、目標達成のため、練習に一工夫を加えた。
打撃練習のメーンをなすフリー打撃。前日までと様相が違っていた。打撃投手が立つ位置は通常より約1メートル前。そこから直球とスライダーを投げさせ続けた。しかも、打撃投手が「久々に腕をマン振りしました」と語るほどの全力投球。すべては田中の球に振り負けないための策だった。
一見すれば、付け焼き刃とみえる。しかし、なりふり構ってはいられない。第6戦に負ければ全ては終わる。逆に田中を倒せば道はつながる。「戦いはこれから」と力説する原監督。ならば、できる限りの策を取る。打者には指揮官なりのアドバイスも送っていた。
「丹田(へその辺り)に力を入れて、球を呼び込んでとらえるような打撃を心掛けようよ」。このファイティングポーズに打者の気持ちも奮い立った。阿部が「ここからが力の見せどころ」と意気込めば、坂本は「一人から2敗するわけにいかない」。闘志に再び、火がついた。そんな選手の様子に指揮官も「いい時間だったと思います」。できることはやりきった原巨人。あとは天命を待つだけだ。 (川越亮太)
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