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水俣病に認定 知事が謝罪
11月2日 0時42分

熊本県水俣市の男性を水俣病と認定しなかった熊本県の処分を、国の審査会が取り消す裁決を出したことを受けて、熊本県は、1日、男性を水俣病と認定し、蒲島知事が直接男性に謝罪しました。

水俣病と認定されたのは、水俣市の下田良雄さん(65)です。
下田さんは、水俣病の認定申請を熊本県に棄却されたことから、国の不服審査会に審査を請求していました。
審査会は、先月25日に行った裁決の中で、ことし4月の最高裁判所の判決を引用し、「これまでの国の基準に適合するのものだけが認定すべき水俣病ではない」として、これまでの国の基準に該当しない、症状が1つだけでも水俣病と認められるという見解を示したうえで、下田さんを水俣病と認定することが相当だとしました。
これを受けて、熊本県は、1日、下田さんを水俣病と認定し、蒲島知事が水俣市の下田さんと直接会い、認定書を手渡しました。
蒲島知事は、「なるべく急いで認定を知らせたいと思い、認定の書類を届けに来ました。水俣病と認定しなかったことを心からおわび申し上げます」と謝罪しました。これに対して下田さんは、「私のほかにも同じ症状を持っている人がいます。4月の最高裁判決に、知事の正しい判断でみんなを救ってほしいです」と応じました。

環境省「認定基準見直す必要はない」

国の認定基準では、原則として複数の症状の組み合わせがある場合に水俣病と認定するとしていて、感覚障害の症状しかない下田さんは、2度にわたって申請を棄却されていましたが、今回の裁決では感覚障害の症状しかない女性を水俣病と認定するとしたことし4月の最高裁判所の判決に基づき、下田さんを水俣病と認定することが相当だとしています。
これを受けて、環境省は今後の対応を検討した結果、あくまで個別の事案で、最高裁の判決でも認定基準は否定されていないとして、最高裁の判決が出た時と同じく、認定基準を見直す必要はないという考えを改めて示しました。
環境省環境保健部の塚原太郎部長は「今回の裁決は行政が行う審査を拘束するものではなく、参考事例として受け止めたい」と話しています。

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