大阪・門真市再開発:「無価値」建物に移転補償 地元会社に29億円

毎日新聞 2013年11月01日 大阪夕刊

 大阪府門真市の再開発事業で、地元不動産会社の子会社が計十数億円で取得した土地・建物のうち建物が約1年半後に移転補償の対象となり、市などから約29億円が支払われることが分かった。建物は古く、複数の専門家が「実際の売買取引では価値がない」と指摘している。国の基準では、補償費が建物の実勢価格を上回る場合、補償をせず建物を取得できるという条項があるが、市はその適用を検討せず2011年に補償を決めていた。当時の市の事業責任者だった元都市建設部長は今年7月、同社に再就職している。

 ◇元担当部長天下り

 市によると、事業の対象は同市幸福町と中町にまたがる計約22ヘクタールで、地区内の体育館や市役所など公共施設の再建・再配置や道路拡幅などを目指す基本計画を、市が09年に示した。関係者によると、地区内のダイエー古川橋店の閉店が同年に決まり、翌10年3月、ダイエーが開いた入札で、不動産会社子会社が建物(5階建て旧店舗など5棟、延べ約2・5ヘクタール)と敷地(約1・3ヘクタール)を計十数億円で取得。直後に不動産会社と共有名義にした。

 翌11年7月、事業計画の具体像が示され、地権者らが同意した。これを受けて市は同月、ダイエー跡地を移転補償対象区域に指定した。建物への補償費は国の基準で約29億円と算出され、既に半額が支払われた。残りも今年度予算で支給される。

 建物の大部分は築40年以上の鉄筋コンクリートで、最近、解体された。関係者によると、入札前の鑑定では建物の価値はほとんどなく、入札価格は土地の価値とほぼ等しかったという。鑑定に詳しい複数の専門家も建物について「売買取引での価値はない」と話す。しかし、同社が取得してから約1年半後、建物が移転補償の対象となり、約29億円が支払われることになった。

 一方、国の「公共用地の取得に伴う損失補償基準」30条は、移転補償費が実勢価格を超える場合、買い取ることができると規定。市が30条に基づき建物を取得していれば、公金支出を大幅に減らせた可能性があるが、市は30条適用を検討しなかった。市まちづくり課は「補償ありきという形で事業を進めてきた。今後は、いろいろな方法を研究したい」としている。

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