【中山由美】北半球の平均気温は2010年までの21年間が過去4千年で最も高かった可能性があることが、国立極地研究所(東京都立川市)のほか、中国やデンマークの研究者らとつくる国際研究グループの調査でわかった。欧州地球物理学連合誌「クライメートオブパスト(過去の気候)」で発表した。

 研究グループは、グリーンランド氷床の深さ約900メートルの氷に閉じ込められた過去の空気を分析し、過去4千年のグリーンランドの気温変動のメカニズムをとらえた。さらに火山や太陽の活動、地球軌道の変動によって日射が変わることも合わせて解析し、北半球全体の気温変動を10年単位で再現した。

 その結果、1990~2010年の北半球の平均気温は、過去4千年の平均気温より0・71度高く、最も高い可能性があることがわかった。4千年全体の変動をみると、平均気温のプラスマイナス0・16度の範囲内に収まるのが大半であることから「自然起源の変動がいかに小さく、人為起源の気温上昇がかなり大きいことがわかる」と極地研の小端拓郎特任助教は話している。