(2013年10月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロシアがフィンランド経済への影響力を強めている。ロシア国営企業、統一船舶製造会社(USC)が、砕氷船建造を得意とするフィンランドのアークテック・ヘルシンキ社を買収することが今週、報じられた。また、困難に陥っているフェンノボイマ社の原発事業を救うためロシアの原子炉メーカー、ロスアトムが同社株の3分の1を取得し、さらに原子炉を提供することを決めた。
フィンランドの高齢世代には第2次世界大戦の記憶がまだ残っているし、フィンランドに徴兵制が敷かれているのはロシアとの長い国境を防衛するためでもある。
だがカタイネン首相は両国の経済関係拡大をまったく心配していない。「ロシアからの投資は喜ばしい」と述べている。
フィンランドは3大格付け機関からトリプルAを得ているユーロ圏唯一の国だが、紙パルプ産業と携帯電話メーカー、ノキアが衰退後に、何が経済成長のけん引役になれるのか心配している。
フィンランドの対欧州連合(EU)貿易は減少しているが、対ロ貿易は増加している。昨年フィンランドを訪れたロシア人は史上最多で、130万人にビザが発給された。フィンランドで最も話されている外国語(第2公用語のスウェーデン語を除く)はロシア語だ。
一方で、フェンノボイマの原発事業をめぐって中道左派・社会民主党の党首、ウルピライネン財務相はロシアへの原発建設の認可について議会で再審議したいと語る。
だが中道右派の国民連合党党首、カタイネン首相、その他の閣僚はこの提案を抑え込んでいる。この原発事業は長年、資金手当てなどの面で不安を抱えており、さらに審議するとなると、どうなるか分からない。カタイネン首相はこの件をこれ以上問題にしたくないと考えている。
砕氷船建造会社のアークテック社買収に対する政治的反応は少ない。USCは既に同社の株を50%保有する。
By Richard Milne
(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら
世界を目指す、全てのビジネスパーソンに。 ビジネス英語をレベルごとに学べるオンライン学習プログラム。日経新聞と英FT紙の最新の記事を教材に活用、時事英語もバランス良く学べます。
アフリカ経済をけん引するガーナの現状について手掛かりを探そうとすると、首都アクラに掲げられたスイスの高級腕時計ウブロの巨大看板に目を奪われるだろう。過去10年の平均で7%の経済成長を遂げた同国が前途洋々だとの見方を強めるかもしれない。…続き (11/1)
(2013年10月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
欧州中央銀行(ECB)は長期の流動性を供給する潜在的必要性を巡ってジレンマにある。その状態は、金融政策の守護者と主たる銀行監督者の役割を兼ね…続き (11/1)
各種サービスの説明をご覧ください。