楽天に王手をかけられ、厳しい表情でグラウンドを後にする巨人の原監督=東京ドーム
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◇日本シリーズ第5戦 楽天4−2巨人
喜びはつかの間に終わった。9回に則本を攻めて、同点に追いついた巨人。その直後にまさかの展開が待っているとは、ベンチの誰もが予想できなかった。
守護神の西村が延長10回の先頭・則本への四球をきっかけに2失点。劣勢をはね返す力は残っていなかった。2勝3敗。ついに、崖っぷちに追い詰められた。
「投手に四球を出した僕のせいです…」。試合終了からしばらくたって一塁ロッカーから出てきた西村は、こう語るのが精いっぱい。ほかの選手の顔もいちように暗い。「粘ったことは価値があるけど…」。試合後、会見での原監督の顔はさすがに険しかった。
無理もない。この日は絶対に勝っておかなければいけなかったからだ。仙台に移動して臨む第6戦で対戦する相手は、楽天が誇る無敵のエース・田中。開幕24連勝。巨人はレギュラーシーズンで2戦2敗。日本シリーズも第2戦で3安打に抑え込まれている。
王手をかけている状態で相対したいというのが本音。しかし、守護神の背信で、プランは幻となった。2年連続日本一の達成には、田中に土をつけるということが絶対条件となった。まさしく、絶体絶命の状況なのだ。
しかし、4敗目を喫したわけではない。記憶に新しいのは昨年のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ。高木中日に3連敗するという崖っぷちから、日本シリーズへ進出し、日本一を勝ち取った。そのときには「徳俵に足が乗った状態から押すことは大変なエネルギーがいる。相手だって、つらい」とチームを鼓舞した原監督。狙うは2年連続での再現だ。
「どういう状況であっても、それに変わりはない」。打倒・田中が必要になったという質問に、原監督はこう即答した。策を練る時間は1日ある。田中をマウンドから引きずり降ろせば、V2への道は開ける。諦めない。原巨人はファイティングポーズをとったまま、仙台決戦に臨んでいく。 (川越亮太)
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