「国連決議によると、戦争犯罪および人道に反する罪に対しては時効が適用されない。そのため(旧)日本軍の慰安婦に対する日本の国際法上の責任にも公訴時効はない」
朴漢徹(パク・ハンチョル)憲法裁判所長は米マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大ロースクールで29日午後(現地時間)「女性に対する人権侵害の回復に向けた国の義務」をテーマに講演し、このように述べた。講演は、今年5月に憲法裁判所を訪れたマーサ・ミノウ・ハーバード大ロースクール学長の要請を受けたもので、韓国の憲法裁判所長による同ロースクールでの講演は今回が初めてとなる。
朴所長は講演の冒頭で、1997年にハーバード大を訪れたとき、ジョン・ハーバードの銅像の左足指を触ったというエピソードを紹介し、場を和ませた。だが、朴氏が力強い口調で慰安婦問題に言及するや、ロースクール生たちの表情は一変して真面目なものになった。
憲法裁判所は2011年、元慰安婦の日本政府に対する賠償請求権が1965年の韓日請求権協定で消滅したか否かに関する解釈上の紛争を解決していない韓国政府の「不作為(当然すべきと期待される行為を行わないこと)」は違憲だとする判決を出した。朴所長は、慰安婦の強制動員を証明する史実を説明しながら「慰安婦問題は国による女性の人権に対する重大な侵害だ」と強調した。また、日本政府の消極的な態度を取り上げ「母性の源である女性を軍隊の性的奴隷にするという犯罪こそ、人類が到底許してはならない極悪な犯罪であるということを日本と世界の人々にしっかり分からせるため、国際社会が批判の声を上げている」と述べた。
続けて「日本政府は慰安婦として強制動員された韓国人被害者に対する賠償を行っていない。政府内では、慰安婦の強制動員を認めず『河野談話』の見直しを主張する声さえ出ている」と批判した。
朴所長は、歴史家・申采浩(シン・チェホ)の「歴史を忘れた民族には未来はない」という言葉を引用し「二度とこうした悲劇的な人権侵害が繰り返されないよう、国際社会が連携して対処していくべきだ」と述べ、講演を締めくくった。