外交文書が公開された。沖縄返還に関する部分は、政治家と官僚の関係、政治家の評価を考える上で興味深い文書が含まれている。 まず政治家と官僚の関係は、毒ガス移送をめぐる極秘文書からうかがえる。
米軍は1971年、毒ガスを二度に分けて撤去した。1次移送経路は住宅地を通ったので住民の反発を招いた。そこで2次移送は住宅地を避けるため新たに道路を建設するよう沖縄側は求めた。
当時の山中貞則総務長官は沖縄側の意向を支持、佐藤栄作首相や福田赳夫蔵相を説得し費用の半額を日本側が引き受けることにした。
これに対してマイヤー駐日米大使は1次と同じ経路を譲らず、日本政府の半額負担は「エンバラシング(当惑)で、頭を痛めている」とアメリカ局長に訴えた。そこで外務省は米国が主張するように1次と同じ経路を使用することで沖縄側を納得させる方策を探ることになる。
米国の意を受けた官僚が、政治家が決めたことと違う動きをする。「国(民)益」ではなく「官僚益」で動く傾向があることを公開文書が物語っている。その傾向は今も変わらない。米軍普天間飛行場の移設をめぐり、当時の鳩山由紀夫首相が「県外移設」を主張したにもかかわらず、辺野古案支持の官僚の抵抗にあって「県外」を断念したことは記憶に新しい。
もう一つは政治家の評価だ。岸信介首相が、米国による沖縄の施政権行使に期限をつけるよう打診し、アイゼンハワー米大統領やダレス国務長官との会談で再三、沖縄に言及していたことを示す資料群があった。河野康子法政大教授の指摘のように、施政権返還を模索した岸氏の姿勢がその後の返還交渉に受け継がれることが分かる。
沖縄返還の実現でノーベル平和賞を受賞した佐藤首相は、返還交渉を開始する前に、返還後も米軍基地を存続させる方針を示していたことが会談録から明らかになった。佐藤氏の方針が在沖米軍基地の固定化につながったことを示している。
今回公開された記録群の中に表紙だけであって中が空のものがある。公開できないなら理由を明らかにすべきだ。公文書は国民の共有財産である。政府は国民の知る権利に対する説明責任がある。積極的に公開し政策決定過程を可視化することが政府に求められる。
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