とはいえ、これはささいな問題だ。そもそも体調は良かった。「正直、肉体的には全く疲れてない。それどころか、シェイプされてベストに近い」と高橋。どんなに食べても体重は60キロ前後を維持し、体の切れもある。コーチ陣をはじめ、支えてくれるスタッフとのコミュニケーションも4年前にはぶつかることがあったが、今はしっかりとれている。
■疲れ切った自分に気づきたくなく
では、何が悪かったのか?
高橋は言う。「本当に五輪に行きたいのか? 自分でも分かっていないのに『おまえは五輪に行きたいんだろう』って、自分をごまかしていた。(精神的に)疲れているのを分かっていても、疲れてないだろうって」
よほどストレスがたまっていたらしく、9月にはけっこう友達と遊びに行っていた。ここ2年ほど、シーズン中は遊びに行く気があまり起きなかったというのに。「そんな部分も自分をごまかしている一面だと思う。疲れきっている自分に気づきたくなかったのかな」
トップアスリートが世界最高の舞台を目指すのは当たり前、フィギュア選手なら当然五輪が目標になる――。世間一般の人はそう見るし、本人もそう思っていたが、違うのかもしれない。何をいまさらと言われそうだが、はっきりとした目標があるからこそ、進むべき道も見えて、選手は厳しい練習を続けられる。
■思い全て吐き出し、気持ちを整理
「スケートにも、(試合で)勝とうとすることにも疲れていたと思う。オイオイって感じですけど……。だから、今回こういう結果でよかったと思う」と高橋。
あの深夜の話し合いでモロゾフ、長光両コーチやトレーナーたちを前に、こうした思いの一切を吐き出したことで、すっきりした。気持ちをきっちり整理して、目標を明確にするきっかけをもらったと感じている。
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