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天安門突入―「テロ」より土壌に目を

中国・北京の天安門の前に、車が突入、炎上した。現場は、建国の父、毛沢東の巨大な肖像画のすぐ近くだった。まるで中国共産党の権威に突撃したかのような事件について中国の警察や[記事全文]

原発輸出―後の責任が取れるのか

日本政府が、途上国への原発輸出に血道をあげている。安倍首相は今週、トルコを訪問し、三菱重工業を中心とした企業連合による原発受注を「成果」に帰国した。[記事全文]

天安門突入―「テロ」より土壌に目を

 中国・北京の天安門の前に、車が突入、炎上した。現場は、建国の父、毛沢東の巨大な肖像画のすぐ近くだった。

 まるで中国共産党の権威に突撃したかのような事件について中国の警察や国営メディアは、少数民族のウイグル族の犯行と明らかにした。

 実行した容疑の3人は、夫婦と、年老いた母だった。現場を考えれば、政治性があった事件である可能性が大きい。

 だが警察がいうような「組織的テロ」なのか、直後に拘束された5人はどう関係しているのか、分からないことは多い。

 背景が何であれ、観光客ら多くの死傷者を出した行為は決して許されない。暴力やテロはいかなる形でも正当化できない。

 一方で、中国ではウイグル族が抑圧されている現実がある。こんな事件を生みかねない土壌に目を向ける必要がある。

 ウイグル族は中国北西部の新疆に住み、イスラム教を信じるトルコ系民族だ。1930〜40年代に「東トルキスタン」と名乗る独立国をめざした歴史がある。90年代に再び独立運動が活発化したが、抑え込まれた。

 国境地帯であり、石油などの資源が豊かだ。近年の開発によりウルムチなど大都市の発展はめざましい。だが、主に豊かな暮らしをしているのは移住してきた漢族だ、と多くのウイグル族住民は受けとめている。

 政府は「民族の平等」をうたうが、現地ではイスラムの習慣が踏みにじられてきた。個人によるメッカ巡礼は禁じられ、ふだんの礼拝も公務員や国有企業従業員はできない。食堂は断食月でも営業を強いられる。

 犯行の動機として、民族の尊厳を冒されてきたことへの積年の恨みがあるとすれば、ウイグル族全体の感情の発露とみることができる。

 人権にうるさいはずの米政府は、チベット問題とは違い、ウイグル問題では口が重い。01年の9・11事件以降、中国との対テロ協力と引き換えに、米国はウイグル独立運動組織をテロリストに指定したからだ。

 だが、民族の人権が抑圧されている現実を、国際社会として看過すべきではない。

 中国政府はすでに新疆を厳戒下において、ウイグル族への監視強化に乗り出した。在外ウイグル人組織は、今回の事件を機に中国政府が弾圧を強めるだろう、と心配している。

 中国政府はウイグル族の文化を尊重し、いかに漢族と融和するか、考え直すべきだ。彼らのほとんどは平和を愛し、安定した生活を望む人々なのだ。

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原発輸出―後の責任が取れるのか

 日本政府が、途上国への原発輸出に血道をあげている。

 安倍首相は今週、トルコを訪問し、三菱重工業を中心とした企業連合による原発受注を「成果」に帰国した。

 しかし、福島第一原発では放射性物質による汚染水の流出が続く。除染も遅れ、事故は収束のめどがいっこうにたたない。

 先の見えない避難生活を強いられている住民から「よく原発を売れるものだ」と怒りの声があがるのは当然である。

 国内では脱原発への転換を求める多くの国民に背を向け、原発政策をあいまいにし続ける。一方、海外ではあたかも事故の経験が日本の原発技術を高めたかのように売り込む。

 考え違いではないか。

 トルコのエルドアン首相との共同記者会見で安倍首相は「原発事故の教訓を世界で共有することにより、世界の原子力安全の向上を図っていくことは我が国の責務だ」と述べた。

 目標としては正しいが、場当たり的な事故対応で世界の不信を招いているのが実態だ。

 津波の前の地震が事故に大きな影響を与えたかどうかも、十分にわかっていない。有数の地震国であるトルコに売り込む自信は、どこからくるのか。

 事故の賠償責任も心配だ。

 米カリフォルニア州の原発をめぐって、廃炉を決めた米電力会社は損害が数十億ドル(数千億円)にのぼると主張。原因となる放射能漏れを起こした蒸気発生器を納入した三菱重工グループに、契約上の上限を超えて賠償するよう求めている。

 以前のように引き渡した後は知らない、とはいかなくなっている。首相自らの売り込みは、大きな事故が起きても日本政府が賠償を保証してくれると受け止められてはいないか。

 途上国は多かれ少なかれ、政情が不安定でもある。原発テロや核物質の核兵器転用リスクを日本政府がどこまで真剣に考えているのか。疑問である。

 エルドアン首相は共同会見で「事故があるからといって、自動車や飛行機に乗らないわけにはいかない」と述べた。

 だが、福島の事故は原発の危険性が車や飛行機と同列には扱えないことを見せつけた。活断層に関する論議や周辺住民の広域避難計画づくりを通し、地震国が原発を持つ困難さもよくわかってきた。

 使用済み核燃料の最終処分は前から暗礁に乗り上げている。

 安倍政権は原発輸出を成長戦略の柱に据えるが、山積する問題に口をつぐんで売り込むのは商倫理にもとる。

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