メニュー表示 業界の慣習が背景か10月29日 19時43分
大阪の「阪急阪神ホテルズ」が、メニューの表示と異なる食材を使っていた問題で、このうち、「芝エビ」と表示して別の同じような大きさの安いエビを使っていたことについて、中国料理店でつくる団体では、エビを大きさで分類する長年の慣習を引きずっていたのが背景にあるのではないかと指摘しています。
今回の問題で大阪の「阪急阪神ホテルズ」は、「芝エビ」を使ったとする中国料理のコースメニューの一品に「バナメイエビ」という同じような大きさの安いエビを使っていました。
日本中国料理協会によりますと、30年ほど前、日本と中国でエビの呼び方が違うため、全国の中国料理店で作る組合の呼びかけで、エビを大きさによって3つに分類することになりました。
この分類では、中国で「龍蝦」と呼ばれる大きなエビを「伊勢エビ」、次に大きい「大蝦」を「車エビ」や「大正エビ」、そして最も小さくむきエビという意味の「蝦仁」を「芝エビ」と表記するようになったということです。
このうち芝エビについては、10年以上前から漁獲量が減って仕入れ値が高騰し、代わりに同じような大きさでより安いバナメイエビを仕入れる店が増えているということです。
今回の問題について日本中国料理協会では、エビを大きさで分類する長年の慣習を引きずり、同じような大きさのエビを「芝エビ」という表記のままメニューに載せてしまったのではないかと指摘しています。
日本中国料理協会の山中一男専務理事は、「中国料理ではずいぶん前から芝エビよりも冷凍物のバナメイエビなどが広く使われるようになっている。長年の慣習とはいえ、誤った表示をすれば消費者を欺くことになり、残念なことだと思う」と話しています。
協会では今後、改めて全国の料理店に対し、食材の表示を適正に行うよう呼びかけることを検討しています。
食材のエビ区別は困難
エビなどの甲殻類に詳しい京都大学白浜水族館の朝倉彰館長によりますと、「芝エビ」と「バナメイエビ」は同じクルマエビ科の全く異なる種類のエビで、顕微鏡で角の表面にある突起の数を見ると区別ができるということです。
見た目は、芝エビはほかのエビと比べて触覚が長く体が薄い灰色なのに対し、バナメイエビは芝エビより触角が短く、体は黒みを帯びているということです。
ただ、体の色などは育ち具合などで個体によって差が大きく、一般の人では見た目だけで区別するのは難しいということです。
また、エビの流通に詳しい愛知県の水産業者によりますと、芝エビは主に小さいサイズが流通し、バナメイエビは大きいサイズが主流だということです。
経験を積んだ水産関係者や専門家を除くと一般の人では区別が難しく、調理した状態では色や形も変わってしまうため、見た目での区別はさらに困難だということです。
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