MCA5853は新世代のアナログ方式のMCAです。MCA5752の上位機種として更に性能アップ致しました。最近のSDD(シリコン・ドリフト・デテクタ)検出器の性能向上(0.25usやnsオーダーのShapingAmp内蔵のSDD)に対応して、低エネルギーから高エネルギーX線までSDDの性能をフルに引き出す為に低ノイズ、高分解能、高速ADC(3Msps)、低い温度ドリフト、低計数率から高計数率(1.5Msps)までピークシフトが少ないMCAです。XAFS測定に最適な高速SCAOUTも追加出来ます。CFD並みのタイム・ウォーク(オシロの長時間トレースで全幅で140ps程度)もオプションでLVDS等で出力可能です。お詫び!現在、弊社のオシロが外部へデータを出力出来る唯一の手段FDが遂に壊れて画像をUpできません。

アナログ方式のMCAのメリットは、
低ノイズ、高分解能、高スループット(誤解を招くカタログの表示が多いのですが、使用している部品としてのADCやメモリーが高速、あるいは超高速でも全く無意味で、スループットが全てです。)を無調整で実現出来ます。DSP方式では、低ノイズ、高分解能、高スループットを同時には実現出来ません。低エネルギーのスペクトルを取る為にはなんとピーキングタイムを64us(パルス幅にして120us以上)に設定して有ります。アナログ方式のMCAの方はせいぜいLLDの設定だけです。
DSPマルチとMCA5752を比較しても、圧倒的にMCA5752の方が優れている事は実際に測定したデータから明らかに成って来ています。DSPからアナログへ開発方針を変更しているメーカも有り、これ以上の論争は不要かと思います。

では、アナログ方式のMCAの性能を決める一番重要な技術は何かと考えますと・・ADCの変換速度でもメモリーサイクルの速度でもありません。
ピーク・デテクトで殆ど性能が決まります。最近のSDD(シリコン・ドリフト・デテクタ)検出器の分解能FWHMが一番良い時定数が0.5us程度で、0.25usや0.125usの物もリリースされ始めますとパルスの立ち上がりで275nsパルス全幅で625ns1usを切る速度になりますと高速なピークデテクト回路が不可欠です。弊社ではMCA5752やMCA5853はパルス幅100nsでテストしていますのでまだまだ余裕が有ります。

ADCの変換速度はピークデテクトしてAD変換開始するとアナログのパイプライン方式で次のピークデテクトに対応出来ますので3Mの変換速度で充分ですので3Msps程度のADCで一番ローノイズで高分解能のADCを使用しています。
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MCA5853 特徴

低ノイズのMCAです。低エネルギー側で高分解能のスペクトルを得る為にはMCA自体のノイズが低い事が重要です。低エネルギーのスペクトル例としてAl(アルミ)のKaとKbが確認できます。ADC5853LOG、 ADC5853LIN

検出器はKetek製、時定数2us、ADC5853を使用しています。ADC5853SPC、但しこの性能は検出器メーカが規定する使用温度22度を守った状態でしかこの様なスペクトルにはなりません。

MCA5853の性能を出す為には、使用している部品の基本的な見直しが必要でした。一番大変だったのは抵抗には当然金属皮膜の温度特性の良い物を使用していたのですが、
低計数率から高計数率(1.5Msps)まで測定すると高計数率でピークのシフトが起こりました。原因は最新の電子部品にはCMOSやFETが多用されていますが、消費電力が周波数に比例して増加(温度が大きく変動)すると言う盲点があり、古いバイポーラ素子よりも温度変動が激しいので環境温度を一定に保っても内部の温度が計数率で大きく変動する事になります。

4Kチャンネルの分解能でも0.025%、100ppmの温度係数は0.01%ですから3度温度が変わるだけで1chシフトする事になります。幸いな事に現在では、温度係数1ppmで浮遊容量や寄生インダクタンスがほぼゼロと言う素晴らしい抵抗が有ります。但し目が点に成る程高価です。1個\2,000円もします。抵抗は沢山使用しますのでADC5853の部品の値段では一番高価な部品と言う事になります。この紫色の高価な抵抗はシェイピングアンプの時定数が0.5usくらいからC・Rの組合せで10pF程度のCになるので通常の金属皮膜で数pFの寄生容量があるので効果は絶大で分解能が格段に良くなります。参考までにSDD検出器メーカはこの紫色の高価な抵抗を最初からバンバン使っています。さらに紫色のこれまた高価なコンデンサもバンバン使っています。それだけの理由があった訳でカッコイイから使っていた訳じゃないんですな!(^o^;;)

   MCA5853 仕様
 
MCAメモリサイズ 4096ch (32bits/ch) 形状(単位mm) 160(W) x 160(D) x 68(H)
AD変換速度 330ns 14bits 電源 AC100V 1A
積分非直線性 +/- 0.01% 重量 1.8Kg
微分非直線性 +/- 0.64% 表示 有機ELディスプレイ
入力信号(ADCダイレクト) 0 ~ 5V BNC 入力インピーダンス 1 K ohm
入力信号(PreAmpOut) A Input, B Input LEMO 入力パルス幅 50ns ピーキングタイム
プリセットタイム 32bits 100ms単位 最大計数率 1.5Mcps( randam x 40%)
インターフェイス USB2.0 FullSpeed 無欠測時間測定 2kch x 2 pingpong mode