AMPTEK社のSDDX線検出器,Si(PIN)検出器を弊社MCAで使用する為のペルチェ素子用電源、HV、メインアンプ等のインターフェース部分が完成しました。

SDD検出器の性能を最大限に引き出す設計で弊社MCAと組み合わせる事で蛍光X線分析に最適な、低ノイズ、高分解能、広いダイナミックレンジ、高速(カタログ値ではなく真の高スループット)を実現致しました。MCAまでをワンボード化したOEMでの供給も致します。特に検出器の面積が7mmから25mmにサイズアップされたSDD検出器は最近の為替(円高)を考慮しますと素晴らしくコストパフォーマンスの良い蛍光X線分析装置が可能です。

弊社の場合は零細企業が市販のスポーツカーをチューンアップしてF1並の性能を持つ違法改造ガレージメーカみたいなもんです。ボデイはそのままでエンジン(MCA)を積み替え、足回り(電源、etc+技術)でMaxの性能を提供致します。
 左側の画像はAMPTEK社の7mmSDD検出器でFe-55を時定数2usecのアンプとMCA5105(USBMCA)でのスペクトルです。クリックで拡大出来ます。

Mn-Ka1とKa2の肩が確認できました。パルサーで1chに収まる放射線計測機器と言えるまともなMCAでFe-55のスペクトルを取るとMn-Ka1とKa2は100対50の比率で10eVの差がありますので1Kch以上のスペクトルでは1ch以上の離れていますので段差が確認出来ます。但し見かけ(計算上)のFWHMは逆に1ch分広くなり悪くなります。入力のカウントレイトを上げてゆくと通常FWHMは悪くなりますが、Ka1とKa2が分離できるMCAの場合は逆に一旦FWHMが良くなってからFWHMが悪くなる現象が出ます。
 AMPTEK社のMCAを実際に使用してみて感じた事ですが、良く言えば合理的ですが・・、悪く言えばイイカゲンなMCAでせっかくのSDD検出器がもったいないなー と言うのが正直な感想です。カタログに記載されている仕様と実際があまりにも違う突っ込みどころの多い製品ですがホームページの文章が良く考えて作成されてあり米国特有の買った人の自己責任の見本の様な気がします。

SDD検出器の高計数率をグラフや色々なデータで説明して有りますが、あくまでもSDD検出器だけの性能で有ってAMPTEK社のDSPMCAと組み合わせての性能だとは何処にも記載されていません。あちこちに理論的にはと言う便利な言葉も使ってありますので余計に混乱しています。一番ひどいのはSDD検出器(最近のSi-PINも同じ)はチャージセンシディブアンプがパルスリセット方式ですが論文調の説明の一番最後のデッドタイムの部分でこのリセットの間はアクィジション(測定)を止めている。さらにパソコンからのスペクトルの読み出しの間も同様にアクィジション(測定)を止めている。しかし20ppmもの正確なクロックを使用しているので問題は無いとキッパリと言い切っている(開き直り?) 決してデッドタイムと言う言葉は使わない。

正確に言えばチャージセンシディブアンプがパルスリセットする毎に(
Det Rst Lockout: 1.64ms)なんと1.64msも死んでるしパソコンから読み出す時も死んでると記載した方が解り易い。ちなみに一般的な蛍光X線分析では0〜40KeVレンジをカバーする使い方が多いのでAm-241でテストした結果5Kcpsで100ms、50Kcpsで10ms、500Kcpsで1msのリセット間隔になります。窒息状態どころでは無い。SDD検出器のところで500Kcpsでもまだ足りないかい!と言うのいったい何なんだと言いたい。

SDD検出器のテスト(試験成績書)ではたかだか2KcpsのFe-55の入力でDeadTimeが2.7%もある。生データは無しです。一番気になる分解能は135〜155eVとやたら範囲が広いけど限りなく155eVに近い値が来ると思った方が精神衛生上よろしいかと思います。ここまで読むとダメじゃんと言う気がしますが、まず電源をDC/DCのノイズの多い物ではなくアナログ用の電源に変えてメインアンプもローノイズの時定数2usecで使用してみますとMn-Ka1とKa2も出ますし、Am-241では唸るほどの分解能です。
Am-241のスペクトルです。

蛍光X線分析の場合0〜40KeVの範囲をAl等の軽元素から重元素まで高分解能のままで一度に測定出来るのが理想的です。DSPMCAの場合は高分解能と広いダイナミックレンジは両立出来ないので(高速の16ビットのADCであっても数10MHz以上では有効ビット数がひどい場合は実質10ビット程度の有効ビットしかありません)軽元素の場合はゲインを上げてピーキングタイムをすごく長く取る必要があります。
Am-241でトータルの性能を見るのにスペクトルのカーソルの位置のピークがダブルピークと確認できればかなり優秀な測定機器と言えます。

4Kchでスペクトルを取って拡大してこのダブルピークが確認できれば分解能と広いダイナミックレンジ持つていると考えて良いと思います。

現在はまたさらに分解能がUpしています。本来ならばSDDは波形整形の時定数は1uSec以下(0.25uSec程度)までなら殆どFWHMの低下は有りませんが、残念ながらAMPTEK製のSDDは検出器Headではなくプリアンプで性能が決まっています。解る人が見れば明らかですがアナログ回路の設計者が設計したプリアンプならば絶対に使ってはいけない部品を使用してあったりOpAmpの電源パターンが信号線と同じレベルで処理してあるため余計なノイズを作り出しています。

改造すると保証適用外になりますので手を出せません。
DSPMCAでのスペクトルは何故か、Log表示をあえて避けているように思えます。微小なピークからスケールオーバー寸前のピークまで一望に見渡せる便利な表示なので、私は殆どリニア表示は使いません。せいぜいFe-55でFWHMの計算の時使う程度です。

それとDSPMCAはメーカーの表示ソフトはスペクトルの生データはどうしても表示出来ませんでした。常に最低でも3chのデータスムージングが掛かったスペクトルしか表示されません。MCAの基本的な性能の積分及び微分非直線性は仕様書の隅から隅まで探しましたが何処にも記載されていません。多分スムージングを掛けないと見るに耐えないのではと思ってしまいます。


Fe-55の前にアルミフォイルを置いて測定したスペクトルですが、Log表示でははっきりとピークが確認できますがリニアですとフルスケールを最大まで確認して初めて解ります。

トータルの放射線測定機器としてのローノイズ、高分解能、広いダイナミックレンジを持っていないとメモリサイズ4Kchで測定してピークカウントで20カウントのアルミのピークはまともなピークにはならないと思います。弊社の場合は時間を長く測定すればアルミのKaとKbの段差が確認できるほどです。