【高田寛】日本銀行は31日、2013~15年度の経済見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を発表した。政府が14年4月の消費増税に合わせて5兆円規模の経済対策を打ち出したのを受け、14年度の成長率見通しを7月時点の1・3%から1・5%に引き上げた。

 黒田東彦(はるひこ)総裁はこの日の記者会見で、「経済対策などで増税の成長率への影響は緩和される。(増税後の)景気腰折れリスクは小さくなった」と述べた。2年後の15年度中に「物価上昇率2%」の目標が達成できるという見通しは変えなかった。

 日銀は4月と10月の年2回、展望リポートを公表している。今回は、新興国の景気減速で輸出が伸び悩んでいるが、国内の消費は堅調なため、「経済は今後も改善傾向をたどり、(従来見通しと)おおむね不変だ」(黒田総裁)とした。

 物価見通しについて黒田総裁は「今年度内に1%に達し、(2%は)15年度の真ん中か前半に達する」と目標達成に自信を示した。

 ただ、政策委員9人のうち審議委員3人がリポートの内容に反対した。見通しが楽観的だと考えたからだ。4月は2人が反対したが、今回は3人に増えた。