- 2013年10月01日 05:43
進行する「欧州のディスインフレ」と10月ECB理事会
そういえば、ECBは10月理事会前だったので、さきほど更新した内容を、若干そっちの方向にシフトする事にした。以下アップデート。
ユーロ圏の9月インフレ率は「+1.1%」。市中にマネーは回らず、目に見えての景気低迷が色濃くなってきた。 欧州では、ブルガリア、ラトビア、ギリシャがデフレ。スペインのユーロ型インフレ率は、段階的に下落してきており、ディスインフレが続いている。8月のHICPはプラス1.6%、しかし9月CPIは「デフレ直前」だ。
8月から1.2ポイントの急激な減速となったが、これは燃料・潤滑油の値上がり幅が1年前を下回ったほか、VAT(付加価値税)の引き上げの反動によるもの。CPIは前月比では0.2%下落。欧州連合(EU)基準で見ると年率で0.5%、前月比で0.8%それぞれ……(記事)
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結果として、本日のスペイン10年債利回りは急騰の4.5%前後(その後下落)、閣僚5名が辞任したイタリアは4.6%超え(その後下落)。
利下げ余地を残しているECBだが、10月より、ECBはレポの担保を拡大する。LTV(掛目)を引き下げ、オペを緩和しマネー流動性を何とか高めようとしている。そして今後も引き続き、OMTの発動は困難。LTRO‐3の可能性が今後、残されてはいるが、それでも欧州のディスインフレを防ぐ事は難しい。
次なるLTROは、3年物ではなく、2年物の可能性がある。しかし景気を好転させることは難しいという事。2日の理事会で政策変更はないだろうが,、理事会後のドラギ会見に注目が集まる事になる。
緩和的トーンが強くなる事が想定されるが、どのようなスタンスでそれを市場に伝えるか。今まで繰り返されてきた「行動の準備がある」といったニュアンスが、さらに強いものとなれば、相場は少々反応する事になる。すべてはドラギの言い方・言い回しによる。
話は若干逸れるが、米国も欧州も低インフレという事に変わりない。どちらも、ここのところのマネーストック上昇率は縮小している。しかし、米国(FRB)は緩和政策の縮小が取り沙汰され、欧州(ECB)は緩和政策の発動が期待されている。その時期も、「今年中か否か」という事で市場予想は一致している。
つまり、インフレ水準はほぼ同じであるにも関わらず、真逆の政策が取り沙汰されている、という事になる。一見不思議なことに思えなくもないが、これは同じ量的緩和政策といえども、FRBとECBではバランスシート拡大のアプローチが違っている事に起因している。ECBは拡大する余力ができたことを意味し、FRBはアクセル全開のレッドゾーンに突入している、という事。
しかし、どのようなアプローチを取ったとしても、マネーストックを高め、需要を喚起させる役割を担うのは民間銀行になる。少なくとも、中銀よりはそれに近い立場にある事は間違いない。そういう事から欧米の中銀は、ジレンマのさ中にある。縮小しても緩和しても、明確な出口は霧中にあるからだ。
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