バルサルタン:研究責任者は副学長「データ入力ミス」主張

毎日新聞 2013年10月31日 22時11分(最終更新 10月31日 23時01分)

 「科学的論文としては不適切」。滋賀医大の調査委員会も31日、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験でデータ操作の可能性を認めた。研究責任者の柏木厚典(あつのり)氏は、副学長で付属病院長という大学最高幹部の一人。柏木氏は大学側の発表に対して「データ入力のミスに過ぎない。不正ではない」と強く反発した。

 滋賀医大の臨床試験には14病院と患者150人が協力した。馬場忠雄学長は記者会見で、「協力していただいた患者さんに大変申し訳なく思う」と謝罪した。だが、調査委員長を務めた服部隆則副学長は「(論文を)取り下げた方がいいと思っている」と述べる一方、「撤回は研究者本人がやるもの。修正で済ませるならそれも一つの方法」と話すなど、次期学長の有力候補とささやかれてきた柏木氏への配慮をにじませた。

 患者150人のうち、大学や関連病院に残っていたカルテは101人分。カルテと論文上のデータを照合した調査委は当初、腎機能に関する尿中のたんぱくの数値に約14.5%の不一致があったと判断していた。ところが柏木氏も同じデータを自ら再解析して相違分は約9%と主張した。調査委はこれを一部受け入れ、不一致率を10.1%と結論付けた。

 柏木氏もこの日大学内で取材に応じた。「不一致は担当者の入力ミス。論文の結論が真実だったかどうかが重要で、論文の結論に誤りはなかった」と強く反論した。

 柏木氏の研究室には製薬会社ノバルティスファーマから6550万円の奨学寄付金が渡り、社員2人が試験に関与していた。論文の公正性に関わる情報を開示しなかったことには「当時は(積極的に公表するという)概念が無かった。6年半前に終わった研究を現在のルールで裁くのか」とも述べた。

 国立大の現役病院長が関与した研究で不正の可能性が指摘されるのは異例だ。柏木氏は「迷惑をかけたことは申し訳ないが、不正だという根拠はない。不正でない以上、辞める必要はない」と語った。【千葉紀和、八田浩輔】

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