クローズアップ2013:JR北、遠い経営基盤強化 安全管理、JR東幹部受け入れ 広いエリア・雪や凍結、特殊事情足かせ

毎日新聞 2013年10月31日 東京朝刊

 また、財政的な支援だけで問題点が解決するわけではない。一連のトラブルは、11年の石勝線の脱線炎上事故を受けて決まった追加支援(無利子貸付金や助成金)の最中に発生した。太田昭宏国交相は、9月の特別保安監査で「保安のほか、経営の問題点も洗い出す」と語った。「いくつもの課題が絡み合っている」との声は国交省や他のJRからも聞こえる。実際、JR四国も鉄道事業の赤字が続くが、保安面では深刻なトラブルは起きていない。

 国交省は、JR東日本に対して、役員クラスの派遣も含めた追加支援を求め、JR北の経営刷新を進める方針だ。ただ、JR東の冨田哲郎社長は「(JR北の)社員の力を生かして、信頼を勝ち取るのが最良の道だ」などと述べ、JR北による自助努力が必要との見解を示している。慢性的な赤字を抱えたまま、安全対策を強化していけるのか。JR北の100%株主の国にも、JR北海道の将来像を明確にし、安全を確保する責任がある。【永井大介】

 ◇現場は期待感、経営刷新に不安も

 JR東日本からJR北海道に派遣される8人は、伊勢勝巳・設備部次長(48)をチーフとする39〜54歳の技術職。伊勢次長は、JR北海道の鉄道部門責任者の豊田誠・常務鉄道事業本部長の補佐として、新設される「安全担当副本部長」に就任する。その他の7人は▽安全推進部と電気部に専任部長各1人▽運輸部に専任課長1人▽車両整備を担当する車両部と保線を受け持つ工務部に専任課長各2人を配置する。派遣期間は1年間。

 「本来は自分たちで再建できればいいが、そんなことを言っていられる状況にない」。JR東日本からの社員派遣について、JR北海道の社員は期待を込める。一方、政府が経営陣を刷新する方向で検討しているとされることに対しては「人を代えてもトラブルが減るとは思わない」と、幹部は複雑な心境をのぞかせる。

 JR北海道では今年に入り特急の出火・発煙事故が相次いで起きていたが、原因究明や再発防止に向けた腰は重かった。国土交通省関係者によると、特に7月以降、事故が3件続いたことを受けてJR東日本から人材を受け入れるよう打診したが、当初は担当者が議論する「意見交換会」の発足にとどまっていた。

 消極的な理由には、寒冷地・北海道の特殊事情がある。路線の電化率は、JR北海道以外のグループ5社の平均は6割だが、北海道はわずか2割。客車や貨車を除く55%が、整備に手間がかかるディーゼル車だ。除雪や氷結防止など保守管理で、ノウハウを積み上げてきたという自負がある。

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

週刊エコノミスト

週刊エコノミスト

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

日報連

日報連