天安門車炎上:ウイグル族関与断定…中国公安、各地で摘発
毎日新聞 2013年10月30日 07時22分
【北京・工藤哲、石原聖、台北・鈴木玲子】中国・北京市中心部の天安門前に車両が突入した事件で、公安当局は29日、独立などを求めるウイグル族が事件に関与したと断定し、北京など国内各地でウイグル族の摘発を始めた。目撃者の証言から、車は逃げ惑う観光客らを追いかけるように走行し、観光客の大勢集まっている場所を狙って突っ込んでいたことが分かり、公安当局は「事故」ではなく「事件」と判断した。中央政府の弾圧に反発するテロ事件との見方が強まっている。
毎日新聞の取材に応じた負傷者らの目撃証言によると、男らが運転していたスポーツタイプ多目的車は、観光客が大勢集まる場所に向かって突き進み、観光客を追いかけるように走行。天安門に掲げられている毛沢東肖像画近くの「金水橋」の柵に衝突したという。車の炎上について、目撃者は「衝突後に漏れ出したガソリンに引火したという感じではなかった。中にいた男がガソリンを(車内に)まいたのではないか」と話した。
中国版ツイッター「微博」には、北京市の治安管理総隊が28日に市内の宿泊施設に事件に関する情報提供を呼び掛ける「通知」の画像が掲載された。通知は「28日に我が市で重大事件が発生した」と記したうえで、容疑者として新疆ウイグル自治区に戸籍登録するウイグル族とみられる男2人の氏名と個人情報が書かれていた。男の年齢は43歳、25歳との報道もある。
当局は、北京市にとどまらず新疆ウイグル自治区でも事件の再発防止に全力を挙げている模様だ。死亡した1人の戸籍がある同自治区皮山県の宿泊施設関係者の漢族男性は「当局から監視カメラを新たに施設内に取り付けるよう指示があった」と話した。また、カシュガル市在住のウイグル族の女性によると、28日夜に現地で事件の大規模な対策会議が開かれた。
一方、香港紙「明報」(電子版)は29日、中国当局が28日、国内のインターネットのポータルサイトに情報規制を通達したと報じた。指示は▽サイトのトップで事件を報じてはならず、トップページに掲載する時間も短縮する▽内容や写真、映像を増やしてはならない−−など。ポータルサイト関係者の情報として報じた。