北朝鮮人権侵害:「大規模に行われている」…国連委が指摘
毎日新聞 2013年10月31日 10時22分(最終更新 10月31日 10時53分)
【ニューヨーク草野和彦】北朝鮮の人権侵害を調べている国連人権調査委員会のカービー委員長が29日、国連総会第3委員会(人権)で中間報告を行い、「組織的で忌まわしい人権侵害が大規模に行われているのは明らかだ」と指摘した。また、脱北者が通過する主要ルートになっている中国に対して調査団の受け入れなど、実態把握への協力を求めた。
カービー氏は北朝鮮の調査への非協力的な態度を非難する一方で、これまで日本、韓国、ロンドンで関係者の公聴会を実施したことを紹介。拉致被害者の横田めぐみさんの母親早紀江さんが北朝鮮の指導者に対して「娘がどこにいるのか教えてほしい」と訴えたことなど、被害者の家族の苦悩を紹介した。
報告後の記者会見でカービー氏は、北朝鮮の友好国の中国は国連安全保障理事会常任理事国でもあり、「北朝鮮の人権問題に影響を与える立場にある」と述べた。調査委は来年3月、国連人権理事会に最終報告を提出する。
北朝鮮の人権問題に関するダルスマン特別報告者も同日、第3委で報告し、今年5月、ラオスに入った脱北者9人が中国経由で北朝鮮に送還された件に言及。亡命希望者や難民について「国際法の原則として、生命や自由が危険にさらされる国に戻さない義務がある」と述べ、名指しは避けつつも中国とラオスの対応を批判した。