単品通信販売の有力企業が九州には多い。実はお手本となった企業がある。1948年創業、辛子明太子で有名なふくや。04年度売上高182億円のうち5割強を通信販売が占める。工場からコールセンター、物流倉庫まで後発企業に公開してきた。
「他社に見られてこそ、成長できる」。4代目社長の川原正孝氏は言い切る。ノウハウの一例が「値引き御免」。販売価格を固めてしまえば、コスト管理に集中することで収益性を維持できる。
コールセンターにも工夫を重ねた。オペレーター20人余りが並ぶ一室には一段高い監督台がある。監督の手元の画面では通話5分をすぎると赤信号が点滅。顧客とのトラブルで長電話になっていないか、目を配る。
こんなノウハウは業界団体視察会やコンサルティング会社を通じ広がった。中にはふくやの得意客となって資料を分析したり、わざとクレームをぶつけてノウハウを得ることもあったようだ。
単品通信販売に詳しいダイレクト・マーケティング・グループの田村哲二社長は「九州通信販売の強みは明太子のような独自商品を開発したことや、ノウハウでも教えあえる開放的な風土にある」という。無料サンプルで顧客データを集め固定客にする「損して得取る」手法も今や定番だ。 |