〔クロスマーケットアイ〕FOMCで振れた市場心理、想定ほどハト派的でなかった声明文
[東京 31日 ロイター] - 米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文は、市
場の一部が期待していたほどハト派的ではなかった。ショートが溜まっていたドルや、過
去最高値水準にあった米株は、調整を余儀なくされている。ただ、あくまで市場認識の揺
り戻しであってFOMC内がタカ派に振れたわけではないとの見方も多い。調整一巡後は
、米経済指標などを見極める展開に戻ると予想されている。
<ポジション調整の材料に>
政府機関閉鎖による景気下押し圧力、来年初めにも再開される財政協議──と、米経
済の不安要素が増える中で、市場の一部では景気判断の下方修正などハト派的な内容を今
回のFOMCに期待していた。米量的緩和縮小(テーパリング)の後ずれ予想を裏付ける
ような文言が声明文に載っているとの予想を強め、ドルショートや株ロングのポジション
を構築していたとみられている。
だが、31日のFOMCでは、そうした期待に反し、景気認識は据え置かれた。前回
の9月FOMC声明文まで言及されていた住宅ローン金利の上昇が住宅市場や経済全体に
与える影響について警戒する文言も削除。政策据え置きは予想通りとはいえ、声明文は市
場が期待したよりはタカ派だったと受け止められた。
30日の米市場ではポジション調整が入り、ドルは98円半ばに上昇。米ダウ
は約60ドル下落した。市場では「FOMC声明はそれほどハト派的ではなかったという
ことで、ドルの買い戻しが進んでいる。マーケット全体的に過度なドル売りの買い戻しが
入りやすい環境だとみている。ドル/円 は底堅い推移となるだろう」(国内銀行)
との声が出ている。
<FRBのシナリオは変わらずとの見方>
しかし、東京市場に入ると、ポジション調整の動きは早くも一服。円安が頭打ちとな
ったことで、前場の日経平均 は反落した。「米株安のマイナスを円安が打ち消す
はずだったが、円安が意外と進まず、日本株も上値が重くなっている」(外資系証券)と
いう。主力輸出株もトヨタ自動車 やパナソニック はしっかりだが、ホン
ダ やソニー などはさえない。
前日からすでにドルのショートカバーが入るなど、リスクに備えたポジション調整が
入っていたほか、エコノミストからは、ハト派に振れ過ぎていた市場認識が揺り戻された
だけであり、FRBのメーンシナリオは何も変わっていないとの指摘が出ている。
シティグループ証券・チーフエコノミスト、村嶋帰一氏は「経済活動が引き続き緩や
かなペース(at a moderate pace)で拡大していることを示唆している、との景気認識の
文言に変更はなかった。一部の市場でハト派的な予想が強まっていた反動が出ただけで、
FRBのメーンシナリオは何も変わっていない」と述べる。
<雇用統計にはしばらく「ノイズ」>
市場がみる今後のポイントは、米経済指標や財政協議の行方だ。米国の物価動向は落
ち着いており、政府機関閉鎖と先送りされただけの財政協議が、消費など米経済にどのよ
うに影響を与えるかを見て、テーパリングの時期を予想することになる。
なかでも最大の注目点は雇用情勢だ。今回のFOMC声明文でも「資産買い入れ縮小
時期の決定に当たりFOMCは、雇用市場が継続的に改善しインフレが長期目標に向かっ
て戻るとのFOMCの見方が、入手する情報によって引き続き裏付けられるかどうか、今
後の会合で判断する」とした。
ただ、政府機関閉鎖の影響で、米雇用統計はしばらく「ノイズ」が入り、データとし
ての信ぴょう性を欠く可能性が大きい。あおぞら銀行・市場商品部次長、諸我晃氏は「テ
ーパリングの開始はデータ次第ということだが、はっきりしたデータはもう少し先になら
ないとわかってこない」と指摘。99円、100円に上昇するような材料はしばらくない
との見方を示している。
<東京市場 31日>
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日経平均 国債先物12月限 国債330回債 ドル/円(12:00)
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14471.80円 145.10円 0.585% 98.46/48円
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-30.55円 -0.02円 変わらず 98.50/54円
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は前引けの値。
下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。
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