地下水保全に向けた共同宣言を採択し、壇上で内容を発表する関係自治体の首長ら |
佐久市、小諸市、北佐久郡、南佐久郡の計11市町村と東御市などでつくる実行委員会は5日、「水資源保全サミット」を佐久市の県佐久勤労者福祉センターで開いた。地下水を地域で守っていくため、自治体間で情報を共有するとともに、地下水保全の重要性を全国に発信しようと開催。県内外の31自治体が、地下水保全に向けたネットワークづくりなどを掲げた共同宣言を採択した。
共同宣言は、外国資本などによる水源地買収とみられる動きが全国で問題視される中、地下水を次代に引き継ぐ環境づくりが求められている―と指摘。地下水を守りながら資源として育むとともに、地域に合った条例などのルールづくりや地下水量調査の実施などを掲げた。また、こうした取り組みに対する国の支援を求めた。県内では、地下水の取水量制限といった内容の新条例制定などを進めてきた実行委の12市町村以外では、飯山市、北安曇郡松川村、下高井郡木島平村が共同宣言を採択した。
パネル討論では、佐久市で水道水を使って化粧品を製造している民間企業の谷津良広工場長が「国の根幹にかかわる部分には規制が必要だが、行政は経済活動とのバランスをうまく取ってほしい」と要望。罰則規定を設けた独自条例を制定した北海道ニセコ町の片山健也町長は「適正な規制が逆に良好な経済活動を促進すると考える。自治体が覚悟を持って取り組むことで国を動かすインパクトにもなる」と述べた。
また、東京財団の平野秀樹上席研究員による基調講演や、お茶の水女子大名誉教授の藤原正彦さんの「日本のこれから、日本人のこれから」と題した特別講演もあった。